出版社内容情報
十六世紀ヨーロッパの精神界を揺るがせた宗教改革の全貌を、単なる教義の解説ではなく、歴史的過程のなかにいきいきと描いている。最新の研究成果をふまえながら、諸改革の共通点、相違点を明らかにする著者の筆は、現代の信仰一致運動に対する要請にこたえて、あますところがない。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
うえ
6
「ルターの内的ドラマを理解するためには、かれが唯名論の学校で教育されたことを想起する必要がある。かれは、ビールの『命題集』を通じて英国フランシスコ会士オッカムの影響を受けていた。オッカムはアクィナスほど恩寵の自発性に注意をむけず、人間は自分の功徳によって救いをかち得ることができる、あるいは…無私の愛をもって神を愛することにより、自分のなかに、恩寵の注入に必要な意向を創り出すことができるということをルターに信じさせていた」しかし禁欲的な勤めに懸命になればなるほど、自分の功徳が不完全であると判断したという。2021/09/18