出版社内容情報
現代フランスの哲学は現象学の決定的影響を受けて発展した。論者は第一部で、実存的現象学の両端としてサルトルとメルロ=ポンティを説き、第二部でポラン、リクール、レヴィ=ストロース、ラカンらの現象学者、構造主義の哲学者を挙げ、現在の危機と葛藤を通して哲学の将来を素描する。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
Bevel
3
志向性は自我の同一性を所与としない。サルトルの自由とは、実存するもの(志向性をもつイメージ、意味)、世界(その対象の総体)、実存の源泉である自己の三項の関係の中に実現される。われわれは反省によって現象学的に実存を記述することができる。現実界と想像界の合流点に芸術がなりたち、価値に基づいて可能性が定まりここが自由の場となる。メルロポンティにとって、意味の可能性の条件は保留され、想像界に知覚が、自由に受肉が対置される。行為によってあらわになる理性や、知覚されるものの全体性の最小の構造としての感覚も気になった。2015/05/14
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