内容説明
ある日、世界一巨漢の少年が現われて、ぼくの中で何かが大きく変わっていく…少年たちのひと夏の思い出をせつなく描く、愛と友情の物語。全米図書賞受賞作。
著者等紹介
ホルト,キンバリー・ウィリス[ホルト,キンバリーウィリス][Holt,Kimberly Willis]
フロリダ州生まれ。海軍士官の父をもち、幼年期はアメリカ内外の各地で暮らす。テキサス州アマリロ在住。処女作『マイ・ルイジアナ・スカイ』(1998)でボストングローブ=ホーンブック賞ほか多数受賞。『ザッカリー・ビーヴァーが町に来た日』で1999年度全米図書賞受賞
河野万里子[コウノマリコ]
1959年生。上智大学外国語学部フランス語学科卒業。国際翻訳賞新人賞受賞(1993年)
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感想・レビュー
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ぱせり
11
緑の海に無数のてんとう虫!鮮やかな残像。そして思うのは、退屈な町なんてないし、退屈な子ども時代もないのだ、ということ。2009/07/15
星落秋風五丈原
9
太っているだけの少年を見るために大半が並ぶのだから、町の日常がいかに単調か窺い知れる。そしてそんな田舎町で、彼がどんなに目を引く存在であるかも、レオナルド・ディカプリオ出演映画『ギルバート・グレイプ』の母親を思い出してもらうといい。のどかな田舎町も、1971年真っ最中だったベトナム戦争と無縁ではない。妻の自立に戸惑う夫の映画『クレイマー、クレイマー』が登場するのは8年後である事を考えると、葛藤を一人で飲み込み母を悪し様に言うトビーに、彼女の幸せがある事を言ってきかせる父のキャラクターはかなり稀有な設定。 2006/05/30
がぁ
8
いやぁ、これもすごかった。終盤に絵が見えるような状景があるが、何と美しい。貧しい言葉では表せないほどの感動。すばらしい。2012/05/16
おーうち
4
1971のテキサス。12歳の少年たち。見世物のザッカリービーヴァー。翻訳も素敵だと思う。楽しく明るい文体で悲しこともすらりと読もせてくれる。湖でのバプテスマがハイライトかな。感動する。2018/08/31
AR読書記録
4
登場人物たちはみんな、ちょっとずつ弱くて、でもそれを自分の中だけに抱えて、他人に気づかれないようにと思いながら生きてる。隠すのは、心配をかけないようにだったり、格好をつけるためだったり、怖かったり、さまざまな理由があるけれど、でも実際それが表に出た時に、本当に他人に気づかれては困ることなのか。そんなことはないんだよね。自分が恐れているほどにはそれはおおごとではないし、まわりの人も恐れを理解した上で、少しでも楽になれるように手助けしたいと思ってる。小さなコミュニティだからかもしれないけど、すてきな世界。2018/08/13