切り裂き魔ゴーレム

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  • サイズ B6判/ページ数 297p/高さ 20cm
  • 商品コード 9784560047255
  • NDC分類 933
  • Cコード C0097

出版社内容情報

日記に殺人の美学を書きつづる夫と、その夫を殺した罪で絞首台にのぼった妻。二人の抱えていた謎は? 霧深いヴィクトリア朝のロンドンを舞台に展開する超一級の犯罪小説。
【編集者よりひとこと】
ヴィクトリア朝ロンドンの猟奇殺人といえば、かの「切り裂きジャック」があまりにも有名だが、本書はそれに先立つこと8年、同じくイースト・エンドを恐怖に陥れた連続殺人を扱った犯罪小説。ただし、そこは英国ポストモダン小説の旗手アクロイドのこと、ミステリとしての面白さは十分に備えながら、虚実皮膜の間を行く巧妙な仕掛けがほどこされている。哲学者カール・マルクスや作家のジョージ・ギッシングら実在の人物が事件に絡み、おおいに興趣をそそる。言ってみればこれは、イギリス版山田風太郎なのだ!

内容説明

切り裂きジャックに先立つこと八年、血も凍る連続殺人が霧深いロンドンの街を恐怖におとしいれた!史実と虚構を巧みに組み合わせ、批評家の絶賛を浴びた英国きっての知性派作家による第一級の犯罪小説。

著者等紹介

アクロイド,ピーター[アクロイド,ピーター][Ackroyd,Peter]
1949年、ロンドン生まれ。ケンブリッジ大学卒。小説『オスカー・ワイルドの遺言』でサマセット・モーム賞、同じく『魔の聖堂』でウィットブレッド賞受賞。伝記作家としても知られ、『T・S・エリオット伝』『ディケンズ伝』が賞を受けている

池田栄一[イケダエイイチ]
1951年生。九州大学大学院修士課程修了。英文学専攻。東京学芸大学教授
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。

感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

みやび

16
ドイル「緋色の研究」の解説で、次はこの本を読むのがいいと薦めていました。19世紀末のロンドンの貧民街。当時の濃霧は黄色くて臭かったそうです…。切り裂きジャック事件より70年も前に起きた連続殺人を題材に、実在した人物を登場させながら、当時の街の様子や大衆演芸も取り入れてミステリーを描くなんて凄いと思います。全然知らないまま読んで、あとがきで知って驚きました。先に知りたかった!2023/08/28

おおた

6
タイトルから単純な連続殺人事件を想像していたが、歴史上の人物や書物を巧みに登場させて19世紀ロンドンの場末臭を体感させてくれる手腕にまずは感心する。躍動感あふれる芝居小屋の雰囲気と、退廃的なロンドンの人々、そして謎の残虐な殺人事件をミックスさせている。Wikipedia片手に登場人物や場所を調べながら読むと、物語と世界がつながったアクロイドならではの手触りが感じられます。文庫化されて多くの人に読まれてほしい名作。2012/05/20

ネムル

6
マルクスやジョージ・ギッシングといった史実と虚構の織り交ぜや猟奇殺人事件とゴーレムのミックスさせるアイデアに、視点やテクストで煙に巻く上等な文芸ミステリ。というあたりに解説で納得しつつも、びっくりするくらいに地味。アマゾンでの「イギリス版山田風太郎」との編集部コメントに納得しつつも、どうも釈然としない地味さ。これはこれで面白く読んだんだけど。2012/04/15

ぶうたん

5
タイトルからすると、サイコミステリのような作品を想像するけれど、殺人鬼や事件がメインとは言い難く、19世紀の猥雑なロンドンを活写した文芸作品と言った赴きである。もちろん殺人鬼は登場するのでミステリ味もあるのだが、多くの実在の人物を交えながら、劇団の女優を勤めたヒロイン側の視点から衒学的に物語を紡ぐことで、歴史小説的なところも大いに味わえる。それはともかく、ストーリーを正確に把握できたのか、一抹の不安が残ってしまった。映画を観てみるかー。2023/12/25

ブラックジャケット

5
高名な切り裂きジャックより前の時代のヴィクトリア朝ロンドン。凄惨な連続猟奇殺人事件が起きた。人々はこの犯人をゴーレムと呼んだ。同時並行で夫殺しのエリザベスが裁かれる。彼女は当時隆盛を誇ったミュージックホールの芸人。主宰者ダン・リーノは実在した伝説の芸人。ゴーレム捜査 ではさらに有名人も参考人として呼び出される。かのカール・マルクス。小説の背景として蒸気機関による自動計算機を開発したバベッジ、そしてチャップリンも母親の胎内で登場。ミステリの本筋に19世紀末のロンドンのキーマンを配置し、意匠を凝らした快作。 2018/05/05

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