内容説明
この精神の運動は、それ自身のめざましくも華麗なアクロバットのほかに、当座はさして目立たずにいたあるお土産を残していった。すなわち、晩年の『高丘親王航海記』をはじめとする小説作品の発想の胞子とも鍵語ともいうべきものが、ここには一斉に出揃っている。
目次
ランプの廻転
夢について
幻鳥譚
姉の力
付喪神
時間のパラドックスについて
オドラデク
ウィタ・セクスアリス
悪魔の創造
黄金虫
円環の渇き
愛の植物学
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
袖崎いたる
15
「え~っと…ぼくは何を読んだんだっけ?」と、いう感じが正直なところ。解説で種村季弘さんが「これは紋章詩じゃないか」と述べてて、確かに雰囲気を味わうものという意味で詩的であるかもしれない。その覚束なさに対して、月報での二人の文章はこの思弁的エッセイたちにある種人格的な定著を与えてくれるかも。とりわけ金井久美子さんの「物質的なことはまあともかくとして人との付き合いで、それがどんなに親しくとも、見栄を張らない、あるいは見栄を忘れた関係ほどいやなものはないと思う。澁澤さんは本当に見栄っ張りだった」の謂いは爽やか。2016/06/07
-
- 和書
- 直紀とひみつの鏡池