出版社内容情報
文学を「純」と「通俗」に分けようとする近代文芸批評から黙殺され、反現実的志向の強い作品として「怪奇小説」の呼称で等しく括られながら、幽霊・分身・怪物・悪夢・妄想・憑依などの「美的至福の有無」として存在してきた「幻想文学」の系譜を、遠く神話から現代まで辿った、異色の文学史。
内容説明
文学を「純」と「通俗」に分けようとする近代文芸批評から黙殺され、反現実的志向の強い作品として「怪奇小説」の呼称で等しく括られながら、幽霊・分身・怪物・悪夢・妄想・憑依などの「美的至福の有無」として存在してきた「幻想文学」の系譜を、遠く神話から現代まで辿った、異色の文学史。
目次
〈幻想文学〉を繞って
譚話の祖型―神話・伝説・説話
怪異の伝播―説話集の盛行
王朝伝奇―作り物語の中の浪曼と怪異
御霊と修羅―雑史・軍記が語る怪異
芸能が語る他界―能・幸若舞
物みな化身の物語―御伽草子の世界
奇想の語り物―説経・浄瑠璃
怪談から伝奇小説へ―近世怪異小説略史
超時代的感覚の魅力―歌舞伎の幻想性
戯作の末路―江戸から明治へ
一つの指針として―近代の幻想作家
細部の驚異―泉鏡花の一殊色
金と銀―潤一郎と春夫の探偵小説
見者の愉悦と悲哀―日夏耿之介
夢の通い路―王朝物語の再生
驚異のエンターテインメント―異端文学十選
妖人魔人怨霊小事典
日本幻想文学年表