出版社内容情報
例えば高知県のある漁村には、「出漁前に女性に会うと不漁になる」「女性の水死体が上がると豊漁になる」といった一見支離滅裂な俗信が並存する。それらは全く無意味な迷信なのだろうか。南四国の事例をベースに広く東アジア水稲耕作文化領域を見据え、俗信の背景にある古層の世界観を探究する。
内容説明
一見、支離滅裂に並存する俗信群。それらは単なる迷信の集積にすぎないのだろうか。南四国地方の事例をベースに、広く東アジア水稲耕作文化領域を見据え、俗信の背景にある古層の世界観を探究する。
目次
第1章 「富」をめぐる漁民の世界観
第2章 盗む論理・盗まれる論理
第3章 「夏の若水」は存在するか
第4章 鳥霊信仰と幼児葬法
第5章 「橋を買う」民俗
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
hanao
1
高知県に土地勘があるため、とても興味深く読み通せました。特に第一章の-「富」をめぐる漁民の世界観-は、情報収集や考察、読み手への興味づけなど、全てにおいて秀逸です! 「女性は漁船に乗るべからず」とは、古来から広く聞かれる俗信ですが、それが単なる女性軽視などではなく、人が自然との調和をとりつつ営みを行う術であったことを思い知らされました。 第一章は高知県南西部の沖の島という限定された地域の研究ですが、丹念に聞き取りを行っている事が伝わってきます。沖の島の描写も丁寧で、島の暮らしと情景が目に浮かぶようです。2016/04/04