出版社内容情報
大好評を博した放送大学での講義を基に、芸能と芸能者の社会的な意味と存在理由を、著者ならではの放浪芸探索の成果を背景にしながら、職業的芸能者の視点から体系的に書き下ろす。
内容説明
放浪芸からテレビ芸まではじめて体系的に書き下ろす芸能人の芸能論。
目次
芸能と私
遊びと芸能
芸能のはじまり
生業としての芸能
芸能と差別
商いと芸能
宴会と芸能
信仰と芸能
芸能の盛衰
芸能と悪所〔ほか〕
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感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
chanvesa
25
小沢さんの芸能論の集大成。テレビに触れているのは新しい。芸能者への差別に、「根元にある本質にはふれないで、当たらず触らずという風潮があるところに、わたしは問題があると思います。事なかれ主義で逃げている。こういうことに対して私は、言いようのない鬱憤が煮えたぎるのでございます。」(109頁)は思いが強く伝わる。伝統芸能の衰退と現代文明による利便性の関係は、心ある人を悩ませる問題だが解決は難しい。梅棹理論の「大衆消費社会の成立とともに、ハレとケもなくなった」(358頁)の引用は鋭い。流行サイクルが刹那的になる。2016/10/01
ヨーイチ
2
小沢昭一さんの集大成。放浪芸と云う言葉は小沢さんが使い始めたらしい。随分とお世話になった。読んだ人がいないのが不思議。流石にこの人の芸能論はもう分かりにくいのかもしれないが。何しろ、無名、底辺の方にばかり向いて行くので。若い人にも注目して欲しい。
takao
1
ふむ2019/12/23
青
1
ざっくり斜め読み。元教師の利用者さんに「読んでみなさい」と言われて、付箋のついた”女相撲”と”トクダシ”の部分だけ。自分じゃ絶対手に取らないなーと思ったけど、読み始めたら飄々とした語り口にするすると読み終えてしまった。扱ってるものに対して敬意を払っているのを文章の端々から感じられる本だった。2013/02/27
TTK
0
しかしテレビを見るのは好きでも、出るのはどうも苦手ですね。……私は自分の素顔を他人に見られたくないのです。他人に見られると、銭金に代えられない悲鳴のようなものが、自分の心から聞こえてまいります。……いえ、あいつはバカなやつだと恥をかくのは平気です。街中で、素っ裸になって裸踊りをやれといわれれば、私はやれます。……自分を露出したあとの自己嫌悪とでも申しますか、心の中の、自分だけの宝物を、むき出しにされてしまったあとの、もう居ても立ってもいられない寂しさですね。この寂しさが私には耐えがたい。 p.3392023/11/08