内容説明
「祖国は危機に瀕す。」ナポレオン3世の第2帝政は、プロシャ軍の侵攻でもろくも崩壊した。屈辱的なパリ攻囲の中で、パリ市民は自治組織パリ・コミューンに結集する。パリ・コミューンと「秩序」を求めるヴェルサイユ政府との間に、血にまみれた市民戦争が展開される。同じ愛国心で結ばれた同じフランス人が、なぜ争い合わねばならないのか。複雑な背景を持つパリ・コミューンの全貌を、分かりやすいドキュメンタリー・タッチで書き下す。
目次
第1部 祖国は危機に瀕す(第2帝政の終焉と9月4日;パリ攻囲と10月31日;コミューン前夜)
第2部 パリ・コミューンの栄光と挫折(コミューンの成立;パリ進攻と人質の悲劇;燃えるパリ)
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
印度 洋一郎
4
普仏戦争で皇帝ナポレオン三世がドイツに降伏した後、フランスは戦後処理を巡って、降伏に不満を持つ勢力がパリで革命を起し、自治政府「パリ・コミューン」を樹立。これに対し、敗戦を受け入れる勢力はヴェルサイユに移転し、フランス人同士がパリを戦場に戦うという奇妙な状況が発生。この複雑怪奇な歴史を、皇帝の降伏直後から、ヴェルサイユ政府軍によってパリ・コミューンが崩壊するまでをコンパクトに記述。このテーマで、200ページはちょっと辛かったのではなかろうか。そこに至る背景をザックリ省略したので、知識が無いとわかり難い2014/08/30