出版社内容情報
1886年、哲学者ニーチェの妹エリーザベトはドイツ人の集団を率いて南米パラグアイに純粋アーリア人の「新しき村」を作った。帰国後兄の著作を改竄し、ナチの思想的バックボーンとなるニーチェ神話を作り上げる。今世紀初頭の恐るべき女魁の生涯を通して現代史の裏面を探る労作。
内容説明
哲学者の妹の驚くべき生涯。南米のジャングルに純粋アーリア人の国を建設し、兄ニーチェの著作を改竄してナチの思想的バックボーンを打ちたてた女性の核心に迫る伝記。
目次
第1章 パラグアイアスンシオンの船着場一八八六年三月十五日
第2章 未知の国
第3章 川をさかのぼって
第4章 白い貴婦人と新ゲルマーニア
第5章 騎士たちと悪魔たち
第6章 ラマの国のエリーザベト
第7章 権力への意志
第8章 祖国の母
第9章 新ゲルマーニア一九九一年三月
感想・レビュー
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丰
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エリーザベト(1846.7.10~1935.11.8)は「成功への道は自分の馬車にしかるべき男をつなぎ、その男に牽かれて栄光へむかうことによって開けるものだと信じていた」と筆者は指摘する。 彼女にとって、コージマ・ヴァグナーは「天賦の才をもった男を見つけだし、その運命を全うする手助けをした」がゆえにロールモデル以上の存在であり、ドイツの女性が到達すべき姿の象徴とであった。 エリーザベトは、自分もまたそうした男を見つけたと信じていた。「兄の生涯は私が書きます。私ほどふさわしい人間はいません。」2011/08/25