出版社内容情報
16世紀人は誰もが旅人で「吹きっさらしの人間」だった、とは歴史家リュシアン・フェーヴルの言葉だが、ルネサンス人は実によく旅をしている。例えばエラスムス、彼はヨーロッパ中を旅しているが、彼が旅の慰めとしたのが、なんとワイン! こんな楽しい逸話をもとに語る、ルネサンスの人と旅。
内容説明
十六世紀人は誰もが旅人で、「吹きっさらしの人間」だった、とは歴史家リュシアン・フェーブルの言葉だが、ルネサンス人は実によく旅をしている。たとえばエラスムス、彼はヨーロッパ中を旅しているが、彼が旅の慰めとしたのが、なんとワイン。こんな楽しい逸話をもとに語る、ルネサンスの人と旅。
目次
温泉でアペリティフを
国境の向こう側
マントヴァの白日夢
聖母に捧げる競馬
ある家事日記について
いつかグダンスクへ
ブールジュの密会
自伝としてのファッションプレート
メムリンク再び
予言者の果実〔ほか〕
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
はなよ
9
新しい本を買っても読む気が起きず、気づけばエセーばかり繰り返し読むようになってしまったので、せめて同じ訳者の本なら読めるかなと思い、購入。本の内容は期待を裏切らない出来で、ルネサンスの時代がおもしろまじめに記されている。ただ、元々雑誌に連載していたものをまとめた本だからか、ルネサンスがほぼ関係のない、作者のエッセイじみた章も含まれている。そういった事情で、巻末に注釈の載っていない章は読み飛ばしても構わないと思う。2017/10/31
singoito2
8
白水社版「エセー」全訳の訳者による肩の凝らないエッセイ集。’96年刊行でアナル派の心性史の流行の延長上にある話題が色々と取り上げられています。軽妙洒脱な語り口で肩の凝らない読み物。身辺雑事の歴史が好きな僕みたいな人には愉しめる一冊でした。2023/11/23
bicirrhosum
0
日記をつけることが商人のつけていた大福帳に始まる(ひいてはモンテーニュにもつながる)という話が興味深かった。そこで紹介されるグーベルヴィルの家事日記も面白い。「今日は一日中、屋敷にいた」と3310回にわたって書き付けられた日記……日記の読者は生の断片性、羅列された凡庸さを感じ取るのだというところにも強く共感する。2013/08/28