父さんの銃

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  • サイズ B6判/ページ数 159p/高さ 20cm
  • 商品コード 9784560027639
  • NDC分類 953
  • Cコード C0097

内容説明

フセイン政権下の苛酷な状況で、次第にクルド人としての誇りと芸術に目覚めていく少年。そして、その家族たちの絆、故郷への熱い想い―。イラク出身のクルド人映画監督による、笑いと涙と希望にあふれた自伝的物語。

著者等紹介

サレーム,ヒネル[サレーム,ヒネル][Saleem,Hiner]
クルド人映画監督、作家。1964年、イラク領クルディスタンで生まれる。サダム・フセインの圧政から逃れるため17歳で亡命し、フィレンツェで学業を修めるかたわら観光客相手に絵を描いていた。その後パリに移住。1990年イラクがクウェートに侵攻すると、秘密裏に郷土にもどり映画を撮影するが、トルコ軍やイラク軍の爆撃により未完におわる。1997年、最初の長編映画Vive la mariee...et la liberation du Kurdistan(花嫁ばんざい、クルディスタンの解散…ばんざい)を撮る。2003年のVodka lemon(ウォッカ・レモン)でヴェネツィア国際映画祭のコントロ・コレンテ部門でサン・マルコ賞受賞。2005年Kilometre zero(キロメートル・ゼロ)は、カンヌ国際映画祭のコンペティション部門の正式出品作品として上映された

田久保麻理[タクボマリ]
1967年東京生まれ。慶應義塾大学文学部仏文科卒。翻訳家(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー

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蘭奢待

31
中東におけるクルド人の自伝。サダム・フセインがイラク大統領に成り上がったころ。中東では内戦が絶えず、チグリス川・ユーフラテス川に古くからの住民であるクルド人が、イラク、アラブ、シリアから迫害される。独立自尊の精神を持つクルド人は反体制のレジスタンスとなり戦い続けるが、クルド人の弾圧は続く。体勢につくソ連、反体制につくアメリカ。そのアメリカに梯子をはずされ、イラクに統合される。クルド語が話せなくなる下りは、言語と民族は切っても切れない事。中東の情勢と人民の気持ちが理解でき非常に興味深い。2019/03/01

藤月はな(灯れ松明の火)

27
イラク生まれのクルド人映画監督の自伝的物語。綴られていたのは歴史、他国の思惑、冷戦などの、クルド人自身の意志で選んだわけでもないのに周囲の不条理に翻弄され、生きてきたクルド人の姿だ。戸惑いながらも子供時代を過ごしてきて、他国の映画を観て「クルド人を登場人物にした映画を撮りたい」と願った作者は夢を叶えた。しかし、最後の作者とその家族の消息を知らせる記述が伝える現実に胸が詰まる。そしてフセイン政権が崩壊しても混迷していく現在を思うと余りにも居た堪れない。2016/07/24

空猫

23
'7,80年代、クルド人アザドの幼少期から17才で亡命するまでの体験記(と思われる)。トルコ、イラク、シリア、イランがせめぎ合い、英国、米国、露国…が介入し、母国語を奪われ、圧政の下、兄弟も友達も密告を恐れ信頼できず…報道では知り得ない、そして今も続く、本当の話。2020/05/05

ぱせり

13
語り手が子どもでなかったら、一つ一つの出来事に進んで注釈が加えられただろうけれど、子ども目線はただ事実を見たままに受け止める。感情表現もあまりない。そのことが「子供」として戸惑っているようであり、別の世界の読者を吸引するようだ。彼は最後には子どもではなくなる。私は置いていかれ、子ども(余所者)のまま。胸を痛めても理解に至らない。民族って何だろう。2015/06/08

6
クルド人映画監督による自伝的物語。国や民族、様々なものに翻弄され生きていくアザド。“でもあのころ、ぼく、アザドは、まだ子供だった。”から始まる、流されるしかない時代を越えていく。物語は“サダム・フセイン政権が崩壊した。”と終わるが、現実は未だ混乱が続いている。2014/11/05

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