ゼーバルト・コレクション
空襲と文学

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  • サイズ A5判/ページ数 186,/高さ 20cm
  • 商品コード 9784560027325
  • NDC分類 940.2
  • Cコード C0097

内容説明

ドイツが第二次大戦で被った惨禍は、戦後の文学によって表現されることがなかった。鬼気迫るアメリー論、ヴァイス論を通して、「破壊の記憶」を検証する。

目次

空襲と文学―チューリヒ大学講義より
悪魔と紺碧の深海のあいだ―作家アルフレート・アンデルシュ
夜鳥の眼で―ジャン・アメリーについて
苛まれた心―ペータ・ヴァイスの作品における想起と残酷

著者等紹介

ゼーバルト,ヴィンフリート・ゲオルク[ゼーバルト,ヴィンフリートゲオルク][Sebald,Winfried Georg]
1944年、ドイツ・アルゴイ地方ヴェルタッハ生まれ。フライブルク大学、マンチェスター大学などでドイツ文学を修めた後、各地で教鞭をとった。やがてイギリスを定住の地とし、70年にイースト・アングリア大学の講師、88年にドイツ近現代文学の教授となった。散文作品『目眩まし』(90年)、『移民たち四つの長い物語』(92年)、『土星の環』(95年)を発表し、ベルリン文学賞、ハイネ賞など数多くの賞に輝いた。遺作となった散文作品『アウステルリッツ』(01年)も、全米批評家協会賞、ブレーメン文学賞を受賞し、将来のノーベル文学賞候補と目された。2001年、住まいのあるイギリス・ノリッジで自動車事故に遭い、他界した

鈴木仁子[スズキヒトコ]
1956年生まれ。名古屋大学大学院博士課程前期中退。椙山女学園大学准教授。翻訳家(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー

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市太郎

64
日本も敗戦国であるし、空襲や特に原発を落とされた国として文学として残す行為をわりとしているとしても、ドイツの空襲の歴史は誰も口を開きたがらないとしてゼーバルトが指摘した問題は実は根っこのところでは日本の戦後意識(という言葉があるとして)と繋がっているのではないか、というのが僕の考えです。客観的な文章ながら真摯さを感じる。他の論ではアンデルシュ論が良かった、というか、結構こけ下ろしていて痛快。しかし綿密なゼーバルト氏であるから当たっているのだろう。僕は件の作家を知りませんでしたが、最低な人だなと思いました。2015/05/07

miyu

32
ジャン・アメリー関連で手に取ったが読み始めてすぐに後悔した。自分にはまだこの本は早すぎる。咀嚼しきれず焦った。アンデルシュのプライヴェートまで槍玉に挙げる様子は個人的な遺恨でもあるのか疑いたくなるが、なるほどアンデルシュは「書く」ということでは公人であり、それゆえ責任も重い。彼を名指して批判しつつ実は見ぬふりを決め込んだ他の芸術家や自国民をも告発しているのだろう。してしまったことを無かったことには出来ないが人は誰も自分の過ちに目をつぶり過去に蓋をする。そうでもしないと私たちは怖くて前には進めないのだから。2017/11/16

みねたか@

27
ゼーバルトコレクション4冊目。本作はドイツにおいて敗戦に伴う壊滅的な状態がどのように受け止められたのかという主題の論考。そして、ナチズムを生き延びたユダヤ系の作家たちに関するエッセイ。前半では、敗戦と壊滅について記録も記憶もせず何事もなかったように振る舞ってきたドイツ人の過去との向き合い方を取り上げ痛烈に批判する。一方、後半の作家論では、まさに命がけで、ファシズム下の人間存在のグロテスクさや、迫害により破壊された心に向き合った二人の作家の闘いが、敬意と優しさに満ちた筆致で描かれて素晴らしい。2023/07/15

スミス市松

27
大戦末期のドイツ各地への無差別爆撃という致命的な〈出来事〉。だが、「この破壊は一度としておおやけに解読される記号にはならなかった」と著者は指摘する。人は惨劇の表象化を試みるが、その衝撃のあまり挫折するのみにとどまらず、再起できないほどのアパシーに陥る。それゆえ人々は忘却によって破局を遠ざけ自己再定義にひた走り、社会は「離れよ、忘れよ」と号令を発し彼らを加速させる。結果、〈出来事〉は具体性を失い人々の意識内に克服不可能なスティグマとして刻まれ、惨禍を精確に語る言葉は紡がれることなく無関心が唯一の態度となる。2018/06/05

Tonex

24
前半はチューリヒ大学での講義を基にした評論。後半はアルフレート・アンデルシュ、ジャン・アメリー、ペーター・ヴァイスという3人の作家を論じたエッセイ。▼拾い読み。ドイツは、第二次大戦末期の空襲により主要都市のほとんどが壊滅したが、戦後この経験を正面から描くことはタブー視されてきたという。日本の戦争文学と比較するといろいろ興味深いと思われる。▼ゼーバルトの他の作品は虚実がないまぜになっているが、この作品も虚構が混じっているのだろうか?2016/03/02

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