内容説明
海上保安庁情報調査室は、海上ルートで密輸される麻薬の摘発や対テロ関連の捜査、北朝鮮に関連する事件や調査を主な任務とする。謎に包まれた組織の長である室長の山下は、アメリカのCIAや韓国の国家情報院と太いパイプを持ち、海外から日本のスパイと評される人物だった。ある日、再編に伴い、谷りさ子(二等海上保安正)が情報調査室に着任した。山下と行動を共にするうち、谷は知られざる国際謀略と犯罪、駆け引きの世界を目の当たりにすることになり…。
著者等紹介
川嶋芳生[カワシマヨシオ]
1970年生まれ。大学卒業後、某大手テレビ局入社。報道記者として海上保安庁を担当。2001年に東シナ海で発生した朝鮮民主主義人民共和国の不審船による九州南西海域工作船事件のほか、2017年大陸間弾道ミサイル発射など、多くの事件や事変を担当。アメリカ連邦捜査局(FBI)捜査官を取材したほか、金ファミリーや北朝鮮の現役工作員へのインタビューを敢行。現在、旧東ドイツの諜報機関・シュタージに関する取材も続けている現役のTVプロデューサー(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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absinthe
147
残念…駄目だった。北朝鮮、防諜、密輸、安全保障…素材は悪くない。作者はTV記者の経歴を持つらしく、ネタ集めは上手だったとは思う。しかし作家としてはかなりの修業が必要そうだ。殆どの素材に火が通らず、工夫したに違いない人物の個性は空回り。すべての素材が唐突に現れ、唐突に処理され消えていく。日本人は危機意識が足りないと言いたい、その気持ちはわかるが…。作者が焦るほど作品は空転していく…2022/12/20
rosetta
29
★★✭☆☆どうにも駈歩と言うか、書き込みが足りなくて詳しめの粗筋を読まされた気分。警察でも自衛隊でもなく、海上保安庁に北朝鮮専門の情報調査室が作られる。メンバーの一人が「Fellow Of Xtraえりすぐりの仲間たち」と呼び始める。拉致、密輸、ミサイルなどあの国を巡っては世界の常識が通用しない特殊な価値観を押し出してくる。組織図にも乗っていないのに情報調査室と書かれた名刺を持つものか?盗聴されているから電話をするなとか、命を狙われるから金正男の子供だと言いふらすなと言う指示を守れない馬鹿な女どもに辟易2022/08/12
to boy
16
海上保安庁に新設されたFOX。北朝鮮との諜報を専門とする部署の活躍をスリリングに描写。話の内容はまさに現在起こっている情勢をリアルに描いてあるのだが、何か物足りない。主人公の山下にしても人物の描写が足りなくて存在感が希薄。ストーリーは面白いが心に残る物語でなないですね。それにしても、ロシア、中国、北朝鮮、韓国と日本にはろくな隣人がいないという現実をあらためて思い知らされました。2022/11/07
羊山羊
15
海上保安庁情報調査室という一見地味な部署。そこの室長山下率いるチームと日韓北の暗闘を描く1冊。暴露小説ということだがまあし烈。実際あった事件もいくらかあるに違いない。最初の、漁船が機密情報やスパイ活動の最前線となっているシーンからのダイナミズムにのめり込まされる。筆致は淡白だけど、面白かったー。2023/01/15
おのちん
14
★★★★☆:何気無く手にした一冊だったが面白かった。主人公の山下と古賀の最後が悲しかった。 しんみりしたって仕方ないだろ、物事にはいつか終わりが来るんだ。が少し響いた。2022/07/17