アウシュヴィッツ後の反ユダヤ主義―ポーランドにおける虐殺事件を糾明する

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  • サイズ B6判/ページ数 424,/高さ 20cm
  • 商品コード 9784560026311
  • NDC分類 234.9
  • Cコード C0022

内容説明

最新研究と慄然たる筆致により、戦後最悪の「ポグロム」(ユダヤ人迫害)の核心に迫る。

目次

第1章 見捨てられたポーランド
第2章 ユダヤ人生存者は歓迎されない
第3章 キェルツェ・ポグロム―事件の経過
第4章 キェルツェ・ポグロム―反響
第5章 社会的距離が判断力を奪う
第6章 「ユダヤ共産主義」の神話

著者等紹介

グロス,ヤン・トマシュ[グロス,ヤントマシュ][Gross,Jan T.]
ユダヤ系ポーランド人、米国籍の歴史家。1947年ワルシャワ生まれ。ワルシャワ大学で物理学を学んだ後、知識人や学生の反体制運動に関わり、68年に大学を追われて米国に亡命。イェール大学で社会学を学び、現在はプリンストン大学の歴史学教授

染谷徹[ソメヤトオル]
1940年生。東京外国語大学ロシア語科卒。ロシア政治史専攻(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー

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Toska

10
ポーランドのユダヤ加害問題については以前よりよく知られるようになってきているが、それでも充分に衝撃的な内容。ナチスが倒れ、公式には反ユダヤ主義が否定される中で起きた戦後ポグロムは、純粋に下から起きた草の根的な現象だった。政府も反政府派も「挑発者」に責任を押しつけようとしたが、そんなものは元々存在しなかった。ポーランド社会の深奥、日常の中から差別がにじみ出てきたという恐ろしい現実。2024/02/08

Arte

5
ポーランド人によるユダヤ人虐殺事件は、ナチスのそれよりも、ルワンダのツチ族虐殺を思い起こさせる。ポーランド人が戦後、ユダヤ人に同情を寄せるのではなく、激しい敵意を抱いた理由について、著者は「ドイツ軍が侵攻してきた時、ポーランド人が喜んで近所のユダヤ人を殺して、その財産を奪い取った」からだという。生き残りのユダヤ人は自分達の悪事を思い起こさせる存在なわけだ。この解釈は当然ポーランド人からは非難轟々だったらしいが、国全体が八つ墓村なこの考えは実に妥当なように思う。おすすめ。2011/09/02

ルナティック

4
便宜上この日付で。戦後のポーランドで起きたポグロムを題材に。地獄から生還したユダヤ人を戦慄させた事件。戦前&戦中と何も変わらない、自分達に向けられる憎悪。私が恐怖を感じたのは、ユダヤ人を襲いに行く時、街で出会った見知らぬ人にも「おい、行くか?」風に誘っている場面。ユダヤ人の命を、完全に軽視している言動に慄いた。全くの濡れ衣で約40人が殺された。女性も幼児も。なぜこのようなことが起こったのかを、広い視野&そして人の差別の心から、考える。ホロコーストとは、ドイツだけの罪なのか、を問う本ともいえる。難しい本だね2014/04/11

Fumitaka

1
多角的な著作である。戦“後”のポーランドにおける反ユダヤ主義の発露を通じて、間違いなく被害者であるはずの人々が加害者にもなる経緯が語られる。『ヨーロッパ戦後史』の最初の方で、ユダヤ人がナチに殺された後、その持ち家や持ち物を周囲の現地民が襲ったことが触れられているが(邦訳上巻、pp. 48-49)、この本ではその詳細が仔細に語られることになる。すなわち、「ヒトラーにより開始され、スターリンにより継続され、そしてポーランド当局により完遂された人種戦争」(『蛮行のヨーロッパ』邦訳、p. 374)の一側面である。2021/11/09

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