出版社内容情報
9人の思想家の連続講演から成る「今日の哲学的人間学」にハイデガーとヤスパースの論考を加えて、哲学的人間学の成果と問題点を鳥瞰する。<初版1976年>
内容説明
哲学的人間学とは、人間存在を全体的・総合的に捉え直そうとする学問であり、現代哲学の一つの基本的な方向づけを意味するものである。本書は、フロム、ゲーレン、レーヴェルスなど、十一人の思想家の講演を基に成った『今日の哲学的人間学』所載の論稿を編集したものであり、この学問の成果と問題点を様々な角度から明らかにする。
目次
ボルノウ「哲学的人間学とその方法的諸原理」
プレスナー「隠れたる人間」
プレスナー「生きものとしての人間―ポルトマンのために」
ヘングステンベルク「現代の哲学的人間学における責任ある言表の問題―合事象性の人間学の試み」
フロム「哲学的人間学と心理分析―ジークムント・フロイトの人間像」
ゲーレン「行動学の倫理的射程」
ポルトマン「生物学と精神」
レーヴェルス「心理学における身体の問題」
ゴシュトニ「テイヤール・ド・シャルダンの人間学」
シヴィー「構造主義と哲学的人間学」
ヘングステンベルク「哲学的人間学の社会的責任」
アール「カール・ヤスパースの哲学における人間学」
ファーレンバッハ「ハイデガーと“哲学的”人間学の問題」
著者等紹介
ボルノウ,オットー・フリードリヒ[ボルノウ,オットーフリードリヒ][Bollnow,Otto Friedrich]
1903年、シュテッティン生まれ。1953年以来、テュービンゲン大学正教授。ディルタイ、フッサールより出発し、とりわけ、生の哲学および実在哲学の諸問題、哲学的ないしは教育学的人間学の問題について研究。精神科学的=人間学的な方向をもつ教育学の主要な伝播者のひとり
プレスナー,ヘルムート[プレスナー,ヘルムート][Plessner,Helmuth]
1892年、ヴィースバーデン生まれ。マックス・シェーラー(『宇宙における人間の地位』)とともに、独立の専門分野としての哲学的人間学の真の意味での創始者であり、この哲学的人間学の新しい問題設定を、とりわけその『有機的存在の諸段階と人間』(Die Stufen des Organischen und der Mensch)によって決定的に影響力のあるものとした。1920年にケルンで開始された彼の学問上の経歴(1926年から教授)はナチスの権力掌握によってとつぜん中断。オランダ亡命中にグローニンゲン大学で教え、1964年に当大学から名誉博士号を受ける。1946年、ゲッティンゲン大学の哲学および社会学の正教授に就任。退職後はチューリヒ近郊のエルレンバッハに住んでいる
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