出版社内容情報
生を苦と規定した哲学者による逆説的幸福論。苦悩と空しさに満ちたこの世でどうすれば安静な心が得られるかを、日常生活の具体的な場面に即して詳細かつ明快に説く。ショーペンハウアー晩年の大著『パレルガとパラリポーメナ』第一巻の末尾を飾る「生活の知恵のためのアフォリズム」の全訳。
内容説明
生を苦ととらえ、苦からの解脱を解くショーペンハウアー。東洋思想に通底するそのペシミズムより湧出した人生知のエッセンス。
目次
第1章 基礎になるまえがき
第2章 人にそなわるものについて
第3章 人が所有するものについて
第4章 他人がいかに思うかについて
第5章 さまざまな教訓と原則について
第6章 年齢のちがいについて
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
t( 7, 10 )
5
同じものに触れても人それぞれ思うことは違う。だから、本当の幸せの基礎とは物質的に何があるかではなく、その人自身の心の在り方がどうであるかということに依存する。したがって、富や名声を得ようとするのも悪いことではないが、その前に自身が物事に対してどう感じるか、どう考えるかという精神の研鑽を行うことが何よりも大切である。というのが一番心に残った。また、人の本質は不変で、相手が変わらないことを怒るのは、転がっている石を転がっているからという理由で怒るのと同じだというのは、面白い考え方だと思った。2017/03/24
田中角栄
3
職場の人に貸して貰い読了。ショーペンハウアーの描く幸福論。日常の中で明朗に生きていく為に注意し意識していくべき事が事細かに書いてあります。この世の本質は苦であり、苦の殆どは他者から、または自分の準備不足、意識不足からもたらされる。他者を遠ざける非常に厭世的な思想です。幾らか選民的、愚民的思想でもあると思います。価値が在ると思っていた全てのモノから解脱することは僕には不可能ですが、価値は自分の中だけにあり、家や車等物に拘らない事、他人に期待し過ぎない事等を頭の隅にそっと置いておくのも悪くないと思いました。2013/06/10
skting
3
人生の苦痛は他者との関わりから生じ、それを出来るだけ避ける事が幸福の秘訣であると著者は述べる。幸福である為にはまず健康であること、生活に困らない程度のお金があること、そして孤独であることを挙げている。共感できる部分も多いが、もっと他者との関わりの中で幸福を感じられ得るのではないかとも思うが、著者によればそれは若いからだと一蹴されそうだ。その他にも色々と為になりそうなことが書いてあるが、まとめきれないのでまた読もうと思う。2011/07/01
m🤍 ̖́-
2
ショーパンハウアーの生活の知恵が載っていて面白く読んだ、20代前半のうちに読めたらもっと良かったが今読むことが出来てよかった。孤独で人生の退屈を感じるときに浪費や快楽に溺れるのではなく、精神の楽しみを身につける。2024/07/26
リュウキ
2
人間の財産は1.広い意味での人格2.人の所有するもの3.名誉地位名声に区分される。人の幸福にとって最も本質的なものは己自身に備わっているもの、即ち第1項目である。これを前提に二章-四章までで各々の財産について述べている。そして、五章からは人生において心得ておくことをリスト形式で説いてくれている。若者向けに書かれたということで、度々愚かな大人の例が反面教師的に書かれている。やや言葉がキツいが本質を突き、厳しい言葉で思想がダイレクトに伝わってくる。箴言としていくつも線を引いた。2019/02/22
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