出版社内容情報
【全巻内容】第1巻 第1部(報告)小さな昼の夢/第2部(基礎づけ)先取りする意識/第3部(移行)鏡のなかの願望像(陳列品、童話、旅、映画、舞台)第2巻 第4部(構成)よりよい世界の見取図(医術、社会体制、技術、建築、地理、芸術と知恵における展望)第3巻 第5部(同一性)満たされた瞬間の願望像(道徳、音楽、もろもろの死のイメージ、宗教、東洋の自然、最高善)
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
無能なガラス屋
3
「究極の意志は、真に現在的でありたいという意志である。すなわち、生きられている瞬間がわれわれのものとなり、われわれがその瞬間のものとなって、『待てしばし』とその瞬間にむかっていうことができるようでありたい。」2025/05/18
人生ゴルディアス
2
壁の向こうにまだ理想郷があると信じられていた時代の本であり、これを読んでつい乾いた笑いを浮かべてしまうのは、まさしく希望をなくしたせいなのかもしれない。Z・バウマンは著作の中で、向かうべき理想郷がなくなった今、人は生に対して効率性だけを望む、と書いていた。なるほどその通りで、フェアトレード運動やグラミン銀行などの試みは、意地悪く言えば現状の経済の枠組みの中でいかに効率良く取り残された者たちを救うかの話だ。全体を把握するためには比較物が必要だ。『希望の原理』は、そういう意味で今もっと広く読まれるべきだと思う2011/03/28