内容説明
本書は農業地理学の入門書を意図して書かれているが、農業地理学のさまざまな方法論、農業の地理学的モデル、農業の地域差の要因分析、行動論的、環境論的アプローチなど、古典から現代に至るまでの幅広いアイディアを数多く含んでおり、これから農業地理学を学ぼうとする初学者のみならず、研究者や農政に携わっている人にも役立つ。農業経営は個々の農民や場所によって多種多様であるが、それがいかなる要因に基づくものなのか、さまざまな要因を取り上げて、分析し解明しようとするのが本書のねらいである。農産物は、気候・土壌・傾斜などの自然的諸条件によって影響を受けるばかりでなく、消費者の経済状態、農業人口の密度、市場への輸送費、国家の農業政策、あるいは農民や消費者の宗教など文化的要因によっても規定されていると著者は主張。平易な表現でわかりやすく説明し、また各種の主題図を多用して、農業の地域的差異を生み出す諸要因を多くの国の豊富な事例を用いて例証している。
目次
序説
農業の生物学的特性
気候と作物
土壌と農民
傾斜と高度と農業
農作物の需要
農民の経済行動
農業の近代化
国家と農民
市場と交通
都市周辺地域の農業
人口増加および労働力供給と農業