出版社内容情報
『東京の自然水』を著した著者が、東京市街地の湧水の危機はより深刻に。区部40ヵ所、市郡部48ヵ所の絶滅寸前の名水を、愛惜の念を込めて記録。水との共存を拒否した我々は、これから真の災害の恐怖を知るか。
内容説明
江戸時代から飲料水の確保に苦慮してきた東京の住民たちは、数少ない名水、名井たちに真摯な信仰を寄せ、日々の暮らしの中で守り続けてきた。そして今も、湧水の脇に祀られた祠に花を供え、人知れず清掃をするお年寄りの姿や、うまい自家醸造の日本酒、気のおけない井戸水の銭湯、瓶詰めにして売れるほどの名水がある一方で、高層ビル建設や地下鉄工事による涸渇が後を絶たない。本書は、おそらく21世紀の前半には完全にその姿を消す「名水」たちへの、愛惜の念を込めた純粋な記録である。