出版社内容情報
江戸時代の思想家、安藤昌益が八戸に至ったいきさつや、当時の人々に何を伝えどう思われていたか、仏門と昌門をめぐる思想的葛藤や、安藤昌益をめぐる様々な人間模様を『詩文聞書記』の解読を通じて詳細に解説。昌益研究や郷土史研究に新たな視点を与えるとともに、一石を投じる一冊
『詩文聞書記』八戸の延誉和尚が編んだ作品で、その内容は漢詩文、和歌、梵文からなる上に、危険視されていた安藤昌益にかかわる事柄であることから、全編にわたって寓意を用いて暗号のように表現され、とりわけ核心部分は梵字によって暗号化されている。
本書で国語・漢文教育の研究者である著者は、『詩文聞書記』の原文を丹念に読み込み、その背景に隠された意味を解読していく。そのことによって、その主目的が編者である延誉和尚が「自分が仏門に留まらざるを得なかったことを理解し、しかし、今でも昌益を尊敬し、その教えをすばらしいと思っていることを伝えたい」ことにあったという新しいとらえ方を打ち出している。
目次
第1部 安藤昌益来八と三人の絆(安藤昌益はなぜ八戸に現れたのか;安藤昌益の受け入れ準備;守西和尚の憂いと延誉和尚 ほか)
第2部 昌門からこちらの世界に(昌門から引き戻す役割を果たす;試毫を利用して長老を説得;嵐が去ってまた嵐?)
第3部 安藤昌益は何を語ったのか(昌益先生と語る会の開催;昌益先生講演会の開催)
エピローグ 我々三人は同志です
著者等紹介
柴垣博孝[シバガキヒロタカ]
昭和29(1954)年、北海道旭川市に生まれる。青森県立八戸高等学校卒業後、二松学舎大学文学部中国文学科で国語・漢文を学ぶ。昭和51(1976)年、青森県の教員(高校・国語)として採用される。38年間勤務し、青森県立六ヶ所高等学校長で退職する。平成26(2014)年、八戸学院大学非常勤講師。平成28(2016)年、同准教授。平成31(2019)年、同教授。令和6(2024)年より学校法人光星学院国際教育局勤務。専門分野は国語・漢文教育、キャリア教育。平成28年から教員免許状更新講習(キャリア教育)の講師を務めた(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。