出版社内容情報
地球温暖化がこのまま進んでいけば、異常気象、海面上昇、生態系、健康、食料、水資源などに、多大な影響を与えるといわれている。こうした環境問題は飢餓や貧困、格差や不平等といった社会的な問題にむすびつくことで、人々の生存を深刻に脅かす。「気候正義」という言葉に象徴されるように、「地球が病んでいる」という現状認識には、環境と社会が相互にからみあわせて、グローバリゼーションの功罪をとらえていく視点が重要である。紛争と難民、平和と農業といった、いま注目される問題も含めて、考える手掛かりを多角的に提供する。
問いを持ち続け、より深く考え続けるために
食と農に関する既存概念を覆し、「クリティカル・シンキング」(論理的思考)のための基礎づくりに
◎キークエスチョンで、食べることや農林漁業に関する「当たり前」を、もう一度問い直す
◎サステナブルな社会の実現につながるアイデアを、第一線で活躍する研究者などがデータも交えて丁寧に解説
◎探求に役立つ関連キーワードや、もっと学ぶたまの参考文献・資料で、より深い学びに役立てる
●はじめにー世界の農と食、そして「平和」は、わたしたちの身近な問題
●地球の気候変動
気候が変調をきたしている/環境変動に農業はどう立ち向かうか/立ち上がるZ世代/科学者は地球温暖化をどう解き明かしてきたのか―IPCCを中心に/地球温暖化と世界の取り組み
●生物多様性と農業
「生物多様性」と「生物文化多様性」/生物多様性と外来生物の複雑な関係/生物多様性を守る農林漁業/農業が環境を「つくり」、守る/生きものを守る農業とは―トウキョウダルマガエルと中干しの関係
●感染症
農業と感染症の関係/新型コロナウイルス感染症が浮き彫りにした社会病理/人獣共通感染症と越境性家畜感染症
●飢餓と肥満
世界に広がる貧困・格差/飢餓と肥満は同根の問題/世界は貧困と飢餓にどう立ち向かってきたのか/「食堂」が与えてくれるもの―日本でも広がった子ども食堂とフード・バンク
●都市化と食・農
都市化する世界/日本の過疎・過密問題はどう進展してきたのか
●紛争と難民
紛争が人権としての食を奪う―難民問題/難民・移民とエスニック食文化/人間の安全保障と紛争/世界は難民問題にどう向き合ってきたのか/アフガニスタンの平和と「水」 中村 哲さんの実践と願い
●平和と食・農
農業で国際協力をする/食への権利と食料主権の実現に向けて/障害がある人と共に歩む農業/エシカルな消費とフェアトレード/2020年のノーべル賞はWFP国連世界食糧計画に/広がり始めた農と福祉と医療をつなぐ取り組み
●未来への提言
小さな農業が次の時代を切り開く/人らしく生きる田園回帰/食と農を学が場を拡げる/一人ひとりが農から「生きる力」を学ぶ/都市(まち)で農業をする/「ノンフォーマル教育」から学ぶ、食と農と私のつながり
●おわりにーパラダイムシフトに向けた深い学びと変える力を
内容説明
問いを持ち続け、より深く考え続けるために―。食と農に関する既存概念を覆し、「クリティカル・シンキング」(論理的思考)のための基礎づくりに。キークエスチョンで、食べることや農林漁業に関する「当たり前」を、もう一度問い直す。サステナブルな社会の実現につながるアイデアを、第一線で活躍する研究者などがデータも交えて丁寧に解説。探究に役立つ関連キーワードや、もっと学ぶための参考文献・資料で、より深い学びに役立てる。
目次
地球の気候変動
生物多様性と農業
感染症
飢餓と肥満
都市化と食・農
紛争と難民
平和と食・農
未来への提言
著者等紹介
池上甲一[イケガミコウイチ]
近畿大学名誉教授。1952年、長野県生まれ。京都大学、近畿大学で教育・研究に従事。現在、近畿大学農学部名誉教授。前国際農村社会学会会長。農業社会経済学の構築を目指し、農業・食料、水・環境、アグロエコロジー、フェアトレード、大規模農業投資などについて研究しながら、日本とアフリカの村を歩き回っている
斎藤博嗣[サイトウヒロツグ]
1974年生まれ、東京育ち、2005年茨城県阿見町の農村へ移住、新規就農。夫婦子ども家族4人で一反百姓「じねん道」斎藤ファミリー農園を営む。自給生活をしながら、アグロエコロジスト、農的ワークライフバランス研究家として、地球市民皆農「すべての人に農を!」推進。立正大学経営学部卒業後、ベンチャー企業に5年勤務。T&T研究所(鴨川自然王国)研究員。小規模・家族農業ネットワーク・ジャパン(SFFNJ)呼びかけ人。家族農林漁業プラットフォーム・ジャパン(FFPJ)常務理事(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。