内容説明
文化年間の江戸。ある諍いから逃れるため、英国船から飛び降りた大倉恭之助は、深川に流れ着くと、身分を隠し夢次郎として暮らし始める。ある日、思いを寄せる芳奴が事件に巻き込まれた!恋敵の源太郎とともに、謎の品川浜屋敷に潜入する夢次郎。得意の「紅毛カルタ(タロットカード)」を駆使し、大切な女を守れるか?西洋占星術の第一人者が描く痛快時代小説!
著者等紹介
ルネ・ヴァン・ダール・ワタナベ[ルネヴァンダールワタナベ]
神秘学研究家、占術家。1942年東京深川生まれ。学習院大学卒業後ロンドンに学び、帰国後執筆活動を開始。占いの本質を心理学、文化人類学、宗教学の一分野として捉え、新たな心理来談療法として確立。後年は後進の指導の他、エッセイ、小説、評論などの執筆活動に専念。ボランティアとして35年間に亘りホットラインを開設、現代人の悩みを救済してきた。2011年11月永眠(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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木冬
1
時代物人情劇。西洋かぶれ(?)の主人公はもとより、登場する人物たちが生き生きとしていて人情にあふれている。どこかコミカルで、懐かしく感じる江戸の時代の言葉や時代の蘊蓄も出ており、「ほお、」と思ってしまう。人物がみな、それぞれに良いキャラで「粋でいなせ」とはこのことだろうかと思いました。江戸時代でありながら西洋との文化交流も見られ、紅毛カルタ=タロットカードを使った占いなんぞも出てくる(というか主題になってる)のもまた面白いと思いました。2014/03/10
あおりたくみ
0
実は著者は、深川の鰻屋で江戸文学に造詣が深かった人の孫だというだけに、登場人物の活き活きとした江戸弁も、時代の薀蓄もとても面白かった。きっと身についたものを表現しているからだと思う。ちょっとした色物のつもりで読み始めたら、きちんとしたユーモア時代小説だった。薄い内容で時代考証もまともにしていないモノが多い中、江戸っ子による良質な江戸時代小説。本作は著者の死後みつかった遺稿だったとのことで、続きがないのがとても残念。2013/11/16
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