出版社内容情報
概念や用語の複雑な変遷過程を丁寧に解説し、家族支援から、グループの力を活かす回復論まで、臨床のポイントを事例豊富に描きだす。
内容説明
豊富な臨床実践に基づく、支援者のための入門テキスト。30年の治療経験から、複雑な概念や用語の変遷過程をわかりやすく解説し、アルコール・薬物依存症と共通するアディクションの病理とその治療論の本質を、グループ臨床を軸にありありと描きだす。
目次
ギャンブル症について
病的なギャンブルに関する診断用語の変遷
わが国でのギャンブル症の臨床像の特徴
日本でギャンブル症がなぜ多いか―社会におけるアディクション問題の成立論
アディクション・ギャンブル症にどのようにはまっていくのか
アディクションの家族に起きること
家族の相談支援
自助グループ活動における回復論
治療の基本と臨床実践の工夫
アディクションと精神療法(心理療法)
アディクションの集団療法
グループでメンバーは何に取り組むのか―アディクションからの回復論
著者等紹介
田辺等[タナベヒトシ]
1977年北海道大学医学部卒業、同大学精神医学教室研究員。2022年4月北仁会旭山病院および札幌こころの診療所(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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ひろか
9
10年以上前だが、筆者の運営するギャンブル依存のグループの視察にお邪魔したことがある。筆者からあなたも入りなさいと言われ、当事者ではないが、私も参加し、1回だけ話をした記憶がある。参加者は様々で、筆者は時折、ミニレクチャーのように言葉を挟むが、言いっぱなし系の自助グループに近い雰囲気があったように思う。近年は、認知行動療法モデルが主となっていているが、その動きが(文献も)具体的に記されていない点を見ると、ある種のアンチテーゼではあるのだろうと理解した。もちろん、筆者は認知行動療法系を批判する意図はなさそう2022/05/03
Go Extreme
1
ギャンブル症について: 診断的アセスメント 病的なギャンブルに関する診断用語の変遷 わが国でのギャンブル症の臨床像の特徴 日本でギャンブル症がなぜ多いか―社会におけるアディクション問題の成立論 アディクション・ギャンブル症にーどのようにはまっていくのか アディクションの家族に起きること 家族の相談支援 自助グループ活動における回復論 治療の基本と臨床実践の工夫 アディクションと精神療法(心理療法) アディクションの集団療法 グループでメンバーは何に取り組むのか―アディクションからの回復論2022/05/21
たろう
0
ギャンブルへのアディクションはアルコールや薬物にも似ている。アルコール依存から脱却したアメリカのグループメンバーが、「アルコールをコントロールする」ことは諦めており、それを目標とはしていない点は新鮮に感じた。酒を飲まない・酒の酔いを使わない生き方を確立することを目指した。ギャンブルについても同じ方向を目指す必要がある。 『できることの一つは、メンバーは「強烈な渇望が生じやすく、アディクション行動を再燃・再発しやすい報酬系回路のある脳の持ち主」になっていることの再確認、すなわち生物学的な病理の確認である。』2025/02/10
yamiyami2225
0
「自分が自分のままでよいのだという自己肯定感が揺らぐとき、人はさまざまな依存対象を求めます」。 アディクションによくある自己中心思考、行為の合理化。周りのきずつきを想像する力も失っている。 それを受け止め向き合ってくれる集団は有用。 ギャンブル症の脳の報酬系がどの程度の期間で回復するかは何も分かっていない。そう簡単に普通のことで面白味は感じないし、続かない。 話すことは整理につながるし、大脳皮質を使って考えることでもある。2022/06/25