出版社内容情報
本年5月、京都で開催した『オープンダイアローグ』原著者来日記念シンポジウムのブックレット化。実践のための要諦が満載!
Part1 シンポジウム
……日本におけるオープンダイアローグの実践とその課題
Part2 シンポジウムを終えて
J.セイックラ[ジェイ セイックラ]
T.E.アーンキル[ティー イー アーンキル]
?橋睦子[タカハシ ムツコ]
竹端 寛[タケバタ ヒロシ]
高木俊介[タカギ シュンスケ]
目次
1 シンポジウム 日本におけるオープンダイアローグの実践とその課題(有効なネットワークに繋ぐためには?;ダイアローグから生まれるもの;専門職が陥りがちなこと;感情を共有し、体感することで世界が豊かになる;ダイアローグの核心;場をコントロールするベストメソッドを持ちこむな;「もっと」の可能性;ネウボラとはどんな支援か;母子関係におけるダイアローグの機能;「傾聴する」とはどういうことか;ブームへの危惧;実践を阻むもの「さあ、恐れずに進もう」;クライシスの時だからこそ可能性が広がる;質疑応答;おわりに―まずは実験精神で、そして希望へのきっかけに)
2 シンポジウムを終えて(私たちは「沈黙を破る」のだろうか;「いま・ここ」を外さない対話;日本でオープンダイアローグをどう進めるか)
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
夜間飛行
58
オープンダイアログの生まれた土壌として貧困や多産多死などフィンランドの厳しい状況と、そこに受け継がれた出産・育児支援(ネウボラ)が紹介されている。日本にも民間に分け入った聖や産婆がいたし、今もその系譜に連なる活動はあるのだろうけど彼らはあまり表に出ない。近代が作りあげた病院システムは虚妄なのか? そもそも専門性とは何か? オープンダイアログは様々な立場の人々が混在する多声の場によって逆に専門性を生かそうとする試みだ。実践となれば経済・社会的な壁にぶつかるが、今は壁を体感し妥協点を見出していく時なのだろう。2017/06/25
れい
10
【図書館】日本にそのまま輸入することは非常に困難が伴うにしても、日本人は改良に秀でた民族であると思っているので、何とかできる部分もあるのでは、と楽観的に考える部分もあり。ただ、医療者間のヒエラルキーについては精神科に留まらず、全科が構造改革されないと難しい。医師会がそれを許すはずがない。公的機関もしかり。新しいことを導入しようにも上司が渋れば起案も難しい。民間に役割を投入されることになるが、民間は経営という大きな問題もある。ヒエラルキーを残したまま、従事者が勤務継続することができるか、これも難問だ。2018/10/01
Yukiko
9
私たちの運営する福祉作業所には統合失調症の人が何人かいる。簡宿で一人暮らしなのだが、少し前に二人がバランスを崩して入院、きちんと服薬をして退院して来た。私は素人なのだけれど、退院してきたらすっかり元気がない。意欲もない。前は言動が手に負えなかったけれど、生き生きはしていた。オープンダイアローグは、うちのような一人暮らしの人を支えるために、取り入れることができるかもしれない。できれば自分が研修を受けに行きたい。本書では、感情を共有することの大切さが印象的だった。2019/03/22
higuri
2
医療従事者がある種の決まりきったゴールを想定しつつ、クライエントや家族の話を聞くのは先回りした態度を見せてしまい、傾聴とは言えない。現在の話を確認する。痛感した。2022/09/07