出版社内容情報
19世紀後半に射影幾何学においてその原型が誕生したグラスマン多様体。表現論や可積分系などの分野でよく登場するが、近年では量子ゲージ理論の散乱振幅といった思いがけない方面でも活躍の場を広げている。その構造や性質は線形代数の言葉でうまく説明でき、非線形ながら内部に線形性を持つ構造は比較的扱いやすいが、グラスマン多様体そのものをきちんと解説した書籍は多くない。
本書の前半(第1~3章)では、グラスマン多様体そのものにスポットを当て、プリュッカー関係式やシューベルト胞体分割などさまざまな理論と絡めて、旗多様体とともに構造や性質を紐解いていく。後半は(第4~5章)はツイスター理論や一般化超幾何函数論、KP階層などの可積分階層への応用を解説する。
『線形代数と数え上げ[増補版]』、『線形代数とネットワーク』に続く「線形代数」シリーズ第3弾。
内容説明
射影幾何学においてその原型が誕生し、線形代数の言葉で定義できるグラスマン多様体、構造や性質を紐解きつつ、応用面まで幅広く解説する。
目次
第1章 グラスマン多様体(グラスマン多様体の構成;プリュッカー座標とプリュッカー埋め込み;旗多様体;全非負グラスマン多様体)
第2章 グラスマン多様体の分割(組合せ論的概念;グラスマン多様体のシューベルト胞体分割;完全旗多様体のシューベルト胞体分割;シューベルト胞体分割の細分)
第3章 無限次元グラスマン多様体(有限次元グラスマン多様体の帰納的極限;片側無限型グラスマン多様体;両側無限型グラスマン多様体;線形空間による定式化)
第4章 ツイスター理論と超幾何函数への応用(ツイスター対応;ペンローズ変換とウォード変換;一般化された超幾何函数;一般化された合流型超幾何函数)
第5章 リッカチ方程式・バーガース方程式とKP階層への応用(リッカチ方程式・バーガース方程式の一般化;KP階層のラックス‐佐藤形式;KP階層と無限次元グラスマン多様体;KP階層のτ函数)
著者等紹介
〓〓金久[タカサキカネヒサ]
1956年石川県生まれ。大阪公立大学数学研究所特別研究員、京都大学名誉教授。専門は代数解析学と数理物理学で、特に長年にわたって可積分系を追求しているが、最近は組合せ論的構造にも関心をもっている(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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