• ポイントキャンペーン

日本近代主権と立憲政体構想

  • ただいまウェブストアではご注文を受け付けておりません。
  • サイズ A5判/ページ数 361p/高さ 22cm
  • 商品コード 9784535586710
  • NDC分類 312.1
  • Cコード C3031

出版社内容情報

公権力の権源とそれを再生産する原理およびメカニズムとは。公権力に有効に抗する民主化論は可能か。近代主権の原理的探究の書。

序章 「近代の必然」を見据える歴史学の探求
1 創発的、原理的な論議を求めて
2 問題の所在の探求
3 近代知の超克をめざして―何をなすべきか

第一部 日本近代主権の原理と立憲制の招請:王政復古から立憲政体構想へ

第1章 「近代の悲劇」と近代主権の社会哲学的探求
1 公権力と「革命」―レジティマシーの論議を越えて
2 権力の非人格化と「神」の策出

第2章 近代主権にとっての明治維新
1 明治維新研究の屈折とアポリア
2 「原点への革命」としての王政復古とその構造化―近代天皇制の基本原理
3 民主化の起点としての「王化」の培養
4 冠絶的「公権」創出の技法―公権の脱所有権力化とその背理

第3章 「革命の馴致」としての大日本帝国憲法体制と共和制構想の排出
1 「不磨の大典」の捻出とその隘路―天皇と政党内閣制
2 反「政党内閣制」思想としての共和主義思想の排出
3 共和主義思想と民本主義

第二部 立憲政体構想の境域:権力の実行力をめぐる競合

第1章 憲政と強力政府党構想――原敬と美濃部達吉の共依存と乖離
1 地方利益誘導論の再検討
2 原敬の政治指導と産業主義的強国化政策
3 「内閣中心主義」の境域

第2章 二大政党制構想の趣意と射程
1 吉野作造の民本主義論の照準と射程
2 民本主義と二大政党制・普通選挙制度論
3 二大政党制論の実践的展望と危機認識の深化
4 二大政党制論の刷新と無産政党

第3章 一九二〇年代後半における「政党政治」の危機の構造化
1 「産業立国主義」とその構造
2 「政党政治」の危機の深化と田中義一内閣の地方分権構想
3 浜口雄幸内閣の「政党政治」革正構想と吉野作造

第4章 二大政党制構想の再編
1 ナショナル・デモクラシーの導入
2 「新中間階級」への期待と吉野構想からの離反
3 「政党政治」崩壊の影響と社会大衆党への期待―行政国家化への対抗
4 統制経済への期待と職能代表制論

第5章 近衛新体制への接近から戦後の二大政党制構想へ
1 限界手段としての近衛新体制への接近―「死中に活」を求めて
2 戦後政治体制への展望

終章 「革命」から「民主主義」へ

【著者紹介】
1962年生まれ。立命館大学文学部日本史研究学域教授(2014年12月現在)

内容説明

一介の権力を「公権力=主権」へと純化せしめる原理と技法とは?主権に実行力を与え、その再生産を可能にした原理とメカニズムを解析し、二大政党制構想の歴史的探究を通して、公権力と創造的に切り結ぶための民主化の制度的ビジョンを模索する。緻密にして果敢な日本近代史研究のフロンティア。

目次

「近代の必然」を見据える歴史学の探求
第1部 日本近代主権の原理と立憲制の招請:王政復古から立憲政体構想へ(「近代の悲劇」と近代主権の社会哲学的探求;近代主権にとっての明治維新;「革命の馴致」としての大日本帝国憲法体制と共和制構想の排出)
第2部 立憲政体構想の境域:権力の実行力をめぐる競合(憲政と強力政府党構想―原敬と美濃部達吉の共依存と乖離;二大政党制構想の趣意と射程;一九二〇年代後半における「政党政治」の危機の構造化;二大政党制構想の再編;近衛新体制への接近から戦後の二大政党制構想へ)
「革命」から「民主主義」へ

著者等紹介

小関素明[オゼキモトアキ]
1962年生まれ。立命館大学大学院博士後期課程単位取得退学。国立歴史民俗博物館歴史研究部助手、立命館大学文学部日本史学専攻助教授を経て、立命館大学文学部日本史研究学域教授(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。

感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

Naoya Sugitani

1
主権とは何かということを明治維新から戦後初期まで概観した本。特に政党内閣期の考察が優れている。浜口雄幸内閣期に開かれた有識者会議において、政友会型の行政(官僚)権力への浸潤を強めるのではなく、政務・事務の区別をつけることで政党の影響力を安定させる方向を見出したことを指摘している。更に著者は民主党政権の失敗から官僚勢力に政権交代の衝撃を与えるために二大政党制が必要であると結論付けている。アメリカ・イギリス型の政治体制を理想とする演繹的な政治・歴史研究とは一線を画した作品となっている。2018/01/15

Ikkoku-Kan Is Forever..!!

1
政治学的視座から日本近代史を俯瞰したい人は必見。一部で〈近代〉の特徴が公権力の成立という視座で、二部で〈民主主義〉のあり方が近代日本を素材に語られる。特徴は「必然」という単語で表現される本書の論理展開。筆者の言う「公権力の成立」及び「二大政党制」の「必然」には、「『かくあった』という社会事象を追跡する姿勢を突き抜けて、『かくあるはず』という洞察論的地平に踏み込み、次いで『かくあるはずであるがゆえに、かくあった』という高次の認識論的構え」*こそ、ウェーバーの持つリアリズムだとする筆者のウェーバー理解がある。2015/08/24

外部のウェブサイトに移動します

よろしければ下記URLをクリックしてください。

https://bookmeter.com/books/8968849
  • ご注意事項

最近チェックした商品