内容説明
水俣病は、20世紀に起きた世界でも最大・最悪の公害事件です。水俣病事件に関する成書は数多く出版されています。その原因に関する研究は既に終わっていると思っていた方も多いかもしれませんが、事実は決してそうではないのです。何が原因でこの大惨事が起こったのか、その原因と連鎖の関係が科学的レベルでは全く未解明、謎に包まれたままなのです。著者たちは、この歴史的惨事を後世の教訓にするためには、事件の原因と因果の関係について、あいまいさやあやふやさのない科学的説明を残さねばと決心しました。昭電論文の虚偽を証明した補論を付す水俣病科学研究の記念碑的書。第55回毎日出版文化賞受賞作を改訂・増補。
目次
序章 解かれなかった謎
第1章 水俣のチッソのアセトアルデヒド工場(チッソ水俣工場の中に入る;アセトアルデヒド工場の現場;工場をつくった技術者―その技術力と思想 ほか)
第2章 海のメチル水銀汚染(患者の発病時期に関するデータ;動物にあらわれたメチル水銀中毒;魚に異変が起こっていた ほか)
第3章 メチル水銀の生成から排出まで(メチル水銀とは;なぜ水銀が使われたか;水銀触媒の脱線反応 ほか)
著者等紹介
西村肇[ニシムラハジメ]
1933年東京生まれ、満洲育ち。1957年東京大学工学部機械工学科卒業。1959年東京大学化学工学科大学院卒業。1980年東京大学工学部教授。1993年東京大学名誉教授。現在、研究工房シンセシス主宰
岡本達明[オカモトタツアキ]
1935年東京生まれ。1957年東京大学法学部卒業、チッソ株式会社入社。1970~77年チッソ水俣工場第一組合委員長。1990年チッソ株式会社退社。現在、水俣病市民会議会員。編著書『聞書水俣民衆史』第1~第5巻、草風館、1989~90年(1990年度毎日出版文化賞受賞)(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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