内容説明
「自分は、そもそも何者か?」ユング心理学は根源的な問いに向き合う。ユング派の心理療法はきわめて実際的かつ個性的だ。国際的に認定された13人の療法家が、無意識やイメージを個別事例で徹底的に深めていく。
目次
1 ユング派の心理療法とは
2 「元型」の考え方
3 ユング心理学の「宗教」イメージ
4 夢分析における「コスモロジー」の視点
5 ユング心理学の「創造性」
6 夢の中の「蛇」とのかかわり
7 ユング心理学における「転移」現象
8 「境界例」にみるユング派の心理療法
9 「分裂病」の臨床
10 ユング派心理療法と日本人のアイデンティティ
11 心身症―身体症状の象徴性
12 精神医療とユング心理学の可能性
13 分析家個人開業のすすめ
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
昭和っ子
18
日本の文化の主要元型は「母ー息子元型」である。故に日本の夫婦関係では、女性は夫に対してより母親に近い役割を期待される。でも、女性達の反乱により、近年この型は崩れている。女性達の母性的自己犠牲精神と忍耐によって背後から支えられて、若々しく颯爽としていた男性達が、夫人の支えを失って見る影もなくなってしまう様を、玉手箱を開いた浦島に例えている所が面白かった。次世代の枠組みの基礎になる元型のペアは、拘束-被拘束の関係を含まない「男-女元型」の軸である。新しい元型にもとずく新しい文化の創造の為には、考える以上に↓2014/06/08
きょちょ
12
河合先生含む13人のユング派日本人の小論文集。 専門的で難解なところが多い。 「怒り」という情動を全て否定的に捉えることなく、ある場合肯定的捉える事の重要性は同感。 こういった「病」に対しては、自然科学的医学ではなく、「個」を、そして今現在の患者さんの「個性化」に至る過程をしっかり理解しようとする姿勢が、治療者には大いに求められることも同感。 従ってたっぷり時間をかけて関わる必要がある。 最後の論文は、日本だけでなく世界的に今までのそれぞれの「文化」が崩壊しつつあるとの指摘は、とても興味深い。 ★★★★2016/01/24
mochi
11
ユング心理学入門者なのに、いきなり難しい本を読んでしまった。専門用語がわからないので、ふーんそうなんだという感じでさらっと読了。夢の分析や絵画分析って実はとても奥が深いのか、心理学初学者にはまだまだ分からないことだらけ。ユング派心理分析家って、心理学の中では最も難易度の高い資格なんだそう。精神医学は他の医学と違って特殊だということにも納得。体の傷と違い、心の奥深くの乳幼児期の心の傷が潜んでいることがあり、それが症状として出てくる。あるいは、抑圧された感情や考えなど。もっと勉強したい。2021/08/29
ゼラニウム/フウロソウ科
0
流し読み2022/11/22