出版社内容情報
科学技術振興機構(JST)社会技術研究開発センター(RISTEX)による、COVID-19パンデミックの渦中にある2020年9月から始めたプロジェクト「携帯電話関連技術を用いた感染症対策に関する包括的検討」の成果をまとめた書籍。携帯電話を用いた位置情報や行動履歴、接触情報などのデータ収集・解析に基づく感染症対策は、国際的にも注目されるなか、これら個人情報の利用に関してはプライバシー上の懸念もあり、世界各国においても明確なルールは確立されていない。そうした状況を捉え、望ましいデータ利用とプライバシーや人権保護のあり方につき、情報工学や倫理/法の観点から多角的・学際的に検討を重ねてきた成果をもとに、将来の新興感染症対策に向けて、立法を含めた政策形成の提案、国際的なルール形成への提言を打ち出す。
内容説明
COVID‐19のさまざまな経験を忘れようとしている現状に対峙し、次なる感染症危機への対策を練る。感染症対策ツールとしての信頼を獲得できないまま運用を終えたCOCOA。現実に対策効果があったのかを検証し、デジタル技術の可能性を探究する。
目次
第1部 携帯電話関連技術を用いた感染症対策に関する提言(全体提言;提言)
第2部 デジタル技術と感染症対策に関する個別課題の検討(デジタル環境における健康関連個人情報を取り扱う上での「説明と同意」の構造がもつ倫理的問題点と提言;スマートフォンを用いた感染症対策と通信の秘密との関係;公衆衛生とプライバシーのもつれ―プライバシーの経験主義的分析がプライバシー法制の解釈にあたえる意味 ほか)
第3部 “オンライン座談会”デジタル感染症対策の未来像(感染症対策におけるデータ活用のあり方と課題;データ利用とプライバシーのバランス;感染症対策の現場での情報アプリの活用に向けて)
著者等紹介
米村滋人[ヨネムラシゲト]
東京大学大学院法学政治学研究科教授。2000年東京大学医学部卒。東大病院等に勤務の後、2004年東京大学大学院法学政治学研究科修士課程修了。日本赤十字社医療センター循環器科勤務を経て、2005年より東北大学大学院法学研究科准教授。以後、法学の教育・研究を行う傍ら、循環器内科医として診療にも従事。2017年より現職。専門は民法・医事法(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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