出版社内容情報
人類学の多様な世界を記す民族誌にマンガを導入したチャレンジングな人文書。
内容説明
生きるとは?働くとは?性とは?幸せとは?人間とは?森の民プナンに会えば、人類がわかる!『ありがとうもごめんなさいもいらない森の民と暮らして人類学者が考えたこと』の人類学者が、マンガ家とともに森の民と暮らして創り出した“民族誌マンガ”という挑戦。
目次
第1章 金持ちフンコロガシ
第2章 欲張りプナン
第3章 木からしょんべん
第4章 埋めて逃げる
第5章 欲を捨てろ
第6章 蚊帳からはみ出る
第7章 アホ犬会議
第8章 リーフモンキー鳥のおかげ
第9章 プナンを真剣に受けとる
著者等紹介
奥野克巳[オクノカツミ]
1962年生まれ。20歳でメキシコ・シエラマドレ山脈先住民テペワノの村に滞在し、バングラデシュで上座部仏教の僧となり、トルコのクルディスタンを旅し、インドネシアを一年間経めぐった後に文化人類学を専攻。立教大学異文化コミュニケーション学部教授(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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mae.dat
234
本書の低本の『ありがとうもごめんなさいもいらない森の民と暮らして人類学者が考えたこと』が多くの驚きを与えてくれたので、また違った視点で示唆を与えてくれると思い手にしました。またライトにね。マンガならではの表現で理解が増した部分もありますが、やはり書籍の体系には敵わないと言う印象です。しかし人類学とかプナンを中心とした狩猟採集民の暮らしについて、学者の研究道具に留まり、その知見は一般の人には中々届いていない。如何にしてアウトリーチするかの実験的な意味合いもあるのかな。伝承は生活基盤を構築するミームなんすね。2023/03/17
榊原 香織
114
あえてマンガ、という媒体で文化人類学を伝えようという試み、とのことですが、まあ、普通にマンガです。 ボルネオ島、プナンの人々は人間と動物、語りの上で区別付けない。私も、ハトのこと、あの人たちとか言っちゃったり2025/02/19
tamami
47
著者には先に『ありがとうもごめんなさいもいらない森の民と暮らして人類学者が考えたこと』という長い名前の著書があり、本書はそのマンガ版と言えるもの。ボルネオ島の狩猟採集民「プナン」と我々現代人との考え方や生活の違いが、線描で分かりやすく描かれている。物の所有や時間といった現代生活では必須の観念に乏しく、ありがとうやごめんなさいもない等、様々な民族の生活習慣に通暁しているはずの人類学者さえ仰天させてしまう、彼らの生活理解への入門書として格好の物。より本格的な人類学講義として先の著書もあり、楽しみである。2021/03/16
トムトム
34
こういう事って自分で気付くかどうかなのだと思います。「人間だ!」という気負いなく自然に生きていく感じが幸せ。狩猟採集をしていない都会人でも手に入れることのできる感覚です。しかし!分かってもらおうとして説明しても、なかなか分かってもらえません。マンガにすれば少しは分かりやすいかなぁ?同じ著者さんの文章で書いてある本の方も手元にあるので、読んでみます。2021/08/31
Narr
18
現地の生活の実態に即した調べものや計算では記録できないこまごましていてありふれた「実生活の不可量的部分(マリノフスキ)」を描いた漫画(対象はプナン)。プナンを徹底的に深掘りするというよりは、プナンを描きつつ人類学の紹介が狙いだったのかな。個人的には人類学に触れることで自分の常識や世界観がグラグラに揺れる体験を求めていたので、他の人類学関連の書籍と同様に楽しめた。にしても欲張りでありがら欲をコントロールするプナンの自制心に驚くばかり…。格差や貧困を生まない人間関係や共同性にも惹かれました。2021/08/22