内容説明
「世界第二位」の経済大国・中国は2012年に大きな転機を迎えることになる可能性が高い―独自の情勢分析と大局観から「中国の未来」を見通す待望の書き下ろし。
目次
1章 「不安定化」が始まった中国
2章 矛盾を加速させたリーマンショック後の回復プロセス
3章 「祭り」の後にくる虚脱感
4章 食料・資源の確保で余力がなくなる中国
5章 臨界点に達する不良債権問題
6章 中間層の雇用、消費、教育の危機
7章 日本以上に急速に進む高齢化社会
8章 人民元自由化がもたらす明と暗
9章 国有企業が越えられない民営化という大きな壁
10章 世界の「環境包囲網」から逃れられない中国
11章 「社会資本主義経済」という矛盾
12章 2012年チャイナリスクの真相
著者等紹介
柯隆[カリュウ]
1963年中国南京市生まれ。1988年来日、1992年愛知大学法経学部卒業、1994年名古屋大学大学院経済学修士課程修了。1994年長銀総合研究所入所、国際調査部研究員。1998年より富士通総研経済研究所へ移籍。現在、富士通総研経済研究所主席研究員。財務省外国為替審議会アジア専門部会委員、財務省財務総研中国研究会委員などを歴任してきたほか、日中両国において講演、メディアへの寄稿等で活躍。中国中央電視台(CCTV)財経チャンネルコメンテータ(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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手押し戦車
6
人の振り見てわが振り直せで他国の過去の経済政策の失敗や良いところを学びさらにリーマンショック後の財政出動による景気のした支え政策など実行力が凄い。通貨をアジア通貨危機時に他国が暴落している時も切り下げをしない決断力は凄い。一党独裁の元の資本主義のカラクリは民間企業ではなく殆どが国有企業で国有銀行がお金を貸し出し投資により経済を無理矢理成長させている。貿易黒字を海外投資で貿易赤字を出して相殺している金融操作も徹底されているが海外投資が債務不履行を起こすと世界的な信用と金融不安が大きく膨れる恐れがある。2014/10/06
Emkay
0
冒頭、いきなり2010年に中国経済が日本を追い抜いて第二位になるのは「ほぼ間違いない」。既に昨年の時点で日本の1.5倍にもなっているので、古さを感じ、読書欲が失せかけた。以降の内容も、既に常識的となっているもの。共産主義と自由主義経済が共存するという論理的矛盾。拡大する内陸部・沿岸部の経済格差。利益を不平等に集める国有企業。深刻化する水、エネルギー、食糧問題。高齢化社会。人民元切り上げのジレンマ。不良債権化する銀行の貸出先。古くて新しいこれらの問題。通読すると頭の整理にはなるが、目新しさはなかった。2013/07/30
のりねえ
0
実は随分前に読んでいたのですが、いまさらですが感想を。一番中国が調子よかった時期にこの本を書いたということはすごいことだと思います。この本には書いてませんが、中国に進出した企業にあちこち訪問して現場を知っている著者の話を伺うと、見えてくる風景も変わってきます。中国人の著書だからと言って読まない人もいるでしょうが、柯隆さんの本はとにかく中国の今の姿を知りたい人にはお薦めです。2013/09/08
モリヤマ リン
0
他の人の著書で読んできたことと、概要が一致するなあと。自分の読書傾向がそうなのか、出てきている情報をまとめると似たような考察になるのか。個人的には、もう少し統計資料が欲しかった。2012/07/16
黒猫
0
概要 中国政府の「社会資本主義」というのは多くの矛盾を抱えており、国営銀行の一極化や民間での自由競争の制限、過剰なマネーサプライ等の問題が挙げられる。 これらの諸問題を内包している中国はやがて大きな局面に差し掛かるであろう。我々はチャイナリスクに備えるべきである。 感想 大まかな中国の問題点というのはなかなか綺麗に纏まっていると思う。 ただ、中国における不動産バブルの崩壊のページでは中国の住宅価格の推移データしか出ておらず、ファンダメンタルズに触れる事がないなどデータ不足の点がある。2012/01/19