ヘリコプターマネー

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ヘリコプターマネー

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  • サイズ B6判/ページ数 194p/高さ 19cm
  • 商品コード 9784532357184
  • NDC分類 333
  • Cコード C0033

出版社内容情報

バーナンキ前FRB議長の権威も借りての導入がささやかれる経済政策、ヘリコプターマネー。その考え方と導入策を簡潔に解説。ヘリコプターマネーとは、ヘリコプターから市中に現金をばらまくかの如く、国民に直接カネを渡すことで、マネーサプライを大幅に増やす景気対策。バーナンキ前FRB議長は、ヘリコプターマネーの強い賛成論者として知られている。
ゼロ金利下の日本では、資金需要が増大しないために貸し出しが増大しない。それゆえに信用創造がなされず、マネーストックの増大はほとんどなかった。この現象を流動性の罠と区別するために、「信用創造の罠」と呼べば、そもそも市中のマネーが増えていないのだから、これは教科書的な流動性の罠とは異なった現象である。
それでは信用創造の罠に陥った時に、通常の金融政策はマネーストックを増大させられるだろうか。ヘリコプターマネーは直接国民にマネーを配布する金融政策の最後の手段として注目が集まっている。
ヘリコプターマネーの考え方は戦前からあり、フリードマン、バーナンキと進化してきた理論だ。だが、日本の現状と合わせた解説は未だに成されていない。本書は、気鋭のマクロ経済学者による端的な解説書。単に金融政策の解説にとどまらず、AIとの競争(労働面)という側面から日本経済を分析してきた経験を元に、ベーシックインカム(最低限の生活費給付)とセットでのヘリコプターマネー導入という具体的な導入方法も提示する。筆者の近著『人工知能と経済の未来』(文春新書)は好調。

第1章 お金のばらまきで景気は良くなるか?

第2章 政府紙幣と財政ファイナンス

第3章 長期デフレにヘリコプターマネーは有効か?

第4章 日本経済が陥った罠とは何か?

第5章 ヘリコプターマネーとベーシックインカム

井上 智洋[イノウエトモヒロ]
駒澤大学経済学部講師
慶應義塾大学環境情報学部卒業、IT企業を経て、早稲田大学大学院経済学研究科博士課程単位取得退学。2015年4月から現職。博士(経済学)。
人工知能と経済学の関係を研究するパイオニアとして、学会での発表や政府の研究会などで幅広く発言。AI社会論研究会の共同発起人をつとめる。専門はマクロ経済学、貨幣経済理論、成長理論

内容説明

マイナス金利時代の究極の経済政策。ヘリコプターマネーは、政府や中央銀行のような公的機関が、空からヘリコプターでお金を降らせるかのように、貨幣を市中に供給することを意味する、究極の景気浮揚策である。本書は、お金を増やすと景気が良くなるのはなぜかを解き明かし、長期的なデフレ不況に対しても有効であることを示す超入門書。

目次

第1章 お金のばらまきで景気は良くなるか?(アベノミクスの基礎にはマクロ経済学がある;成長政策はデフレ不況脱却のための政策ではない ほか)
第2章 政府紙幣と財政ファイナンス(歴史の中の政府紙幣;銀行券と中央銀行の起源 ほか)
第3章 長期デフレ不況にヘリコプターマネーは有効か?(長期的な需要不足の可能性;自然失業率仮説 ほか)
第4章 日本経済が陥った罠とは何か?(流動性の罠なのか?;クルーグマンの「流動性の罠」モデル ほか)
第5章 ヘリコプターマネーとベーシックインカム(貨幣発行益とは何か?;貨幣発行益をベーシックインカムとして国民に配当せよ ほか)

著者等紹介

井上智洋[イノウエトモヒロ]
駒澤大学経済学部講師。慶應義塾大学環境情報学部卒業、早稲田大学大学院経済学研究科博士課程単位取得退学。2015年4月から現職。博士(経済学)。専門はマクロ経済学、貨幣経済理論、成長理論。人工知能と経済学の関係を研究するパイオニアとして、学会での発表や政府の研究会などで幅広く活動している。AI社会論研究会の共同発起人もつとめる(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

KAZOO

123
ヘリコプターマネーをまけば本当に景気がよくなるのでしょうか?これは外国とくに米国が言っていることであると思われます。この本はそのような内容についてはかなり詳しく知ることができます。しかしながら日本人の国民性やサプライサイドについての分析が必要ではないかと思われます。いまお金をたくさん持っているのは高齢者ですが、それを使ってしまうのが心配なことと、使うための魅力ある商品がないことではないでしょうか?アメリカは消費社会で借金してでも購入するという傾向がありますが。2017/02/23

えちぜんや よーた

33
うーん、取っ付きにくかった。マクロ経済学のテキストを最後に読んだのが5年くらい前なので、何とも言い難い。ただ貨幣発行益でベーシックインカムを支給するという発想はびっくり大仰天。そんなんしたら通貨大暴落が起きるんちゃうの?と素人的に思ってしまった。でもある意味「ラク」な政策だから、ありうるかもしれん。筋からいえばBIは現在社会保障財源を一本化して、経費としてかかっていた中央政府と地方自治体の余計な行政コストを削って足し込むもんだと個人的に思っていたが。こっちのやり方は「血の雨が降る」だろうからね。2017/02/21

シュラフ

31
100円ショップに行けば一応の商品が手に入り、コンビニやファストフード店に行けば低賃金の外国人労働者が働いている時代。こうした光景こそがデフレの真因。ヘリコプターマネー(マネーストック(現金+預金)の増大政策)活用による経済の活性化という著者の主張だが、一国だけの閉鎖型経済モデルならともかく、グルーバル経済の今日において本当にそれが有効なのかどうか疑問が残る。また政府紙幣の発行による公共投資や国民給付という考え方にも抵抗を感じる。野放図な紙幣発行防止のルールを設定しろというが、民主主義はそこまで賢くない。2017/06/04

R

23
マクロ経済学をわかりやすく教えてくれる一冊でした。アベノミクスの根拠のひとつでもある学説について解説していて、それなりの説得力を覚えました。経済というか、貨幣、信用というものがどのようにして廻っているのか、これを循環させることが重要で、借金という概念もまた悪い意味だけではないと思わされる内容で知識が増えたように思います。ベーシックインカムについても言及していましたが、これについては、導入してしまうとその分上乗せされて、結局意味がなくなりそうじゃないかと思ったりもしたけど、興味深い取り組みだと感じました。2018/07/11

izw

14
最初に読んだ井上先生の「人工知能と経済の未来 2030年雇用大崩壊」http://bit.ly/2zddySK でも「ヘリコプターマネー」という言葉は紹介されていたが、本書では、マクロ経済学者として、ヘリコプターでお金をばらまくような政策というヘリコプターマネーの仕組みと有用性を簡明に解説している。ペーシックインカムの議論もいくつかの国で始まっているが、まだまだ時間がかかるだろう。ヘリコプターマネーはすぐにでも実施すべき政策だろうが、まともに議論されている様子がないのはなぜだろう?2017/10/18

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