内容説明
リーマン・ブラザーズを潰し、ベアー・スターンズとAIGを救済した理由とは何か。バンク・オブ・アメリカによるメリルリンチ買収はいかに進行したのか。三菱UFJにモルガン・スタンレーへの出資を決断させるために、アメリカ財務省が使った手段とは何か。アメリカ経済、ひいては世界経済を襲った未曾有の金融危機。その中心で、財務長官として危機を瀬戸際で食い止めたポールソンが、その全てを明らかにする。
著者等紹介
ポールソン,ヘンリー[ポールソン,ヘンリー][Paulson,Jr.,Henry M.]
1946年フロリダ州生まれ。1968年ダートマス大学卒業。1970年ハーバード・ビジネススクールにてMBAを取得後、国防総省入省。74年にゴールドマン・サックス入社。98年に同社CEO就任。2006年に第74代財務長官に就任。オバマ政権に移行する2009年1月まで未曾有の金融危機に対し司令塔として活躍した
有賀裕子[アルガユウコ]
翻訳家。東京大学法学部卒業。ロンドン・ビジネススクールで経営学修士(MBA)取得(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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jj
8
10年刊。ブッシュJr時代米国財務長官ポールソン回顧録。一連のサブプライム問題、リーマンショック時の当事者。何故リーマンを潰したのかは、買収先が存在しなかったのがその理由。ただし政府保証を付与することで、買収先企業の確保は可能という疑念はあるという。またFRB議長バーナンキは大恐慌研究により、金融機関の破綻が大恐慌の長期化、深刻化を齎したと説明しているが、当初のバーナンキ自身の目立った活躍はなく、結局ポールソンはリーマンを廃業させる。金融機関の信用失墜に、世界が支払った莫大な代償は周知の事実となる。 2020/04/15
エドバーグ
6
リーマンショックの実話。手に汗を握る展開が、非常に興味深い。現状の日々大きく変わっている金融への規制が、危ういことを示唆している。ビットコイン、ペイペイなどなど。正直に現実を記述されている本書は、歴史から学ぶという意味で有益だと思います。2019/10/24
おおとろ|内省的ストーリーテラー
3
☆☆☆☆☆
さわでぃ
3
ゴールドマン・サックスCEOを務め、その後財務長官として金融危機対策に臨んだヘンリー・ポールソンの手記。自由市場の信奉者として、その考え、行動は非常に明朗簡潔であり、専門的な金融用語を除けば読み進めるのは困難ではないが、危機感のない業界、政治的な思惑の渦巻く議会との調整を経ながら金融危機に対処するなか、特に以下の部分は印象的だった。 (第16章)「――より高次の目的を果たすためには、厳密なイデオロギーは脇に置くしかなかった。自分の信奉するものを守るために、信奉しない行いをせざるをえなかったのだ。」2013/02/08
Tatsufumi Ozawa
3
主に時系列で長官のチームが何に対処していたのかを記述してあった。特にためになったのは、9月頭のファニーメイ、フレディーマックへの対処とその裏での思考、同じくTARPの変遷と市場の悪化がわかったこと。全体としてはチーム最善を尽くした、危機があまりに早過ぎてその場対応にならざるを得なかったことが書かれている。議会対応の中で、上院と下院での両党の思惑の違いも鮮明にかかれていた。2013/02/03