内容説明
敵対的企業買収時代の到来で、「我が社」というコップのなかだけでの社長レースは崩壊しつつある。突然の来訪者に対抗すべく考案された「毒薬」も、用心棒たちのセールス・トークとは裏腹に防衛効果は弱く、使い勝手はそれほど良くない。経営者が誘惑にかられて保身へと暴走すれば、訴訟リスクが待ち構える―。ニッポン放送事件を皮切りとして、日本技開、ワールド、TBSなどで起こった買収騒動を題材に、いま構築されつつあるM&Aルールと日本の企業社会の今後をビジネスと司法の現場から見渡す。
目次
第1章 蟻の一穴
2章 泥仕合が生む買収・防衛ルール
第3章 株式会社の価値と買収防衛
第4章 変貌する欧米ルール
第5章 これからの日本のM&A政策
第6章 様々な鎧と用心棒
第7章 ニッポン放送事件と日本社会
第8章 揺れるTBSとワールド買収
著者等紹介
三宅伸吾[ミヤケシンゴ]
1961(昭和36)年、香川県生まれ。86年、早稲田大学政治経済学部卒。95年、東京大学大学院法学政治学研究科了。86年、日本経済新聞社入社。東京本社産業部、経済部、政治部の各記者を経て、2003年から編集委員(生活情報部兼政治部、経済法制担当)(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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敵対的買収においては、企業経営者は自らの保身と株主である買収者との委任関係において、深刻な利益相反状態が生じる。本書は、話題となったライブドアによる「ニッポン放送株買占め事件」から、その問題を解消するための買収防衛策のルール作りやその問題点を、欧米の先行事例や関係者の証言を交えて解説する。買収防衛策が認められても、損害賠償リスクを排除しきれないし、また、MBOには最近、その不透明さからスキャンダル化しているものもある。裁判所&法務省vs経産省&経済界の暗闘や買収側・防衛側双方に群がる弁護士が面白い。2012/07/04