内容説明
「民の楽しみを第一」とする藩主宗春の政策によって華やかな時代を迎えた尾張名古屋を舞台に、京から流れてきた遊女、大店の後妻、飲み屋の女将、商家に嫁いだ武家の娘など、運命を受け入れてそれぞれの場所で精一杯生きる女性たちの姿を鮮やかに描く珠玉の7篇。
著者等紹介
堀田あけみ[ホッタアケミ]
作家。1964年、愛知県生まれ。名古屋大学教育学部卒業、同大学院教育学研究科博士課程修了。現在、椙山女学園大学准教授。81年、17歳のとき『1980アイコ十六歳』で文藝賞受賞。95年、写真家の小原玲氏と結婚。次男が自閉症の障害を持つことから、近年は『発達障害だって大丈夫』などの著作を発表し、講演なども行っている(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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さなごん
26
大学生のとき初めて堀田さんの小説を読んだ時の雰囲気が蘇ってきた。女の感情の複雑さといえばいいのか。また堀田さんの小説が読みたい。2016/01/16
えっちゃまーん
5
『もう一つ、女の花を咲かさずにおくものか』の帯に惹かれて。 時代ものは読むが、殆どが江戸モノで地方(失礼)を舞台としたもの初読みでした。 それぞれが女の生き方を見いだすお話で良かった。今も昔も女は不自由で逞しいなと。結局、花は咲かなかったのが残念。 ただ、話し言葉が難解だった………2014/12/07
ソババッケ
5
17年前に出されたローカル本の再版。6つの短編と1つの中編からなる物語。このタイトルなら園芸物語かと誰もが思うが、帯封の「もう一つ、女の花を咲かさずにおくものか」というのが正しい内容。時代は享保年間、舞台は尾張名古屋、藩主の宗春は吉宗の質素倹約令に対抗し、廓を開き、小屋をかけ、祭りを奨励するなどの解放政策の真っただ中。会話がすべて尾張弁であるのが、臨場感を出してくれていい。5年ほど過ごした当地での言葉のイントネーションを思い出しつつ楽しむことができた。これを機会に長編にも挑戦してもらいたいものだ。★3.32014/08/22
しのぶ
4
『1980アイコ十六歳』以来、とは言わないけど、ほんとに久し振りに名前を見かけ、しかも名古屋を舞台にした時代物ということで、読んでみました。悪くない。けど、名古屋じゃなくても成立しそう。あえて廓話にしなくても、それは遠景に置いといて、市井に生きる人たちの物語でよかったのになー、という印象。2014/11/14
みみなし里緒
3
堀田あけみサン、久しぶりに読んだ。書店で見て、あの堀田あけみ?本当?と思った。時代小説なんだもの。廓話だし。昔は思春期の女子の心理を掘り下げた青春小説を書いてたね。名古屋の大学の先生と言うところまでは知ってたから、何作かは読んでいたと思う。名古屋弁なので、いちいちニュアンスを考えながら読むと少し時間がかかる。土佐人と名古屋人が話をするとチュウチュウ、ニャアニャアうるさいと聞いた。そうかもしれん。ヒロインは(思うように行かなくても)みんなたくましいと思ったが、最後の秋江は少しせつない。幸せになってほしい。2014/12/23