日経文芸文庫
どくとるマンボウ回想記―私の履歴書

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  • サイズ 文庫判/ページ数 246p/高さ 15cm
  • 商品コード 9784532280079
  • NDC分類 914.6
  • Cコード C0123

内容説明

「航海記」から半世紀。世界の海山を駆けめぐり膨大な作品を吐き出したマンボウは、いまは世を捨て何も望むことはない。生と死、時間と空間の輪郭が溶けてしまった、洒脱でちょっととぼけた半生記が写す、もうひとつの戦後文学の豊かさ。日経新聞連載「私の履歴書」、待望の文庫化。

目次

1 文学への目覚め
2 執筆開始
3 躁とウツ
4 父と母 妻と娘
5 先輩や友人
6 歳晩に思うこと

著者等紹介

北杜夫[キタモリオ]
1927年東京都出身。東北大学医学部卒業後、神経科の医師に。旧制松本高校時代から父・斎藤茂吉やトーマス・マンの影響で文学に開眼。大学時代に「文芸首都」同人となって執筆活動に入る。60年『夜と霧の隅で』で第43回芥川賞受賞。『楡家の人びと』(64年、第18回毎日出版文化賞受賞)が三島由紀夫、川端康成に激賞され同時代を代表する作家の地位を不動のものとした。2011年逝去(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー

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hiro

103
北さんの「どくとるマンボウ」物はすべて読んだと思っていたが、この文庫本がでて、まだ読んでいない「どくとるマンボウ」物があったと思い込んで買ったが、既に単行本で読んでいたと気づくw 再読して一番印象に残ったのは、北さんが登山隊のドクターとして訪れたカラコルムを再訪し、そこで再会したメルバーンのところだった。メルバーンは『カラコルムふたたび』という作品にもでてくるぐらい、北さんの心に強く残る人だったのだろう。巻末の佐藤愛子さんの「北さんの思い出」は、‘賢(強)姉愚(弱)弟’というお二人の関係がよくわかったw2014/02/11

クプクプ

39
面白かったです。本文から『私たちにとっていちばん大切なのは、能うかぎり自分を知ることである。古代ギリシャのことわざ「己れ自らを知れ」が何より威大な説である』。この文章は今の私のためになると思いました。そして、北杜夫が自作「怪盗ジバコ」の出来に自信をもっていることも大きな発見でした。また私が最近、古本で買った「父っちゃんは大変人」という小説も北杜夫が気に入っていると書かれていたので読むのが楽しみになりました。この本は白黒の写真が多く載っていて父、茂吉との写真もあります。絶版かもしれませんが北杜夫の(つづく)2019/05/26

アコ

21
ずっと気になっていた北杜夫さん。日経新聞『私の履歴書』がメインなので「作家北杜夫がはいかにして生まれたか」がよくわかる。躁うつ病をあっけらかんと告白していたことは有名だけど、想像以上にユーモア溢れるかただったんだなと。それが幼少期から順に語られる。どこかポツポツとした文体が昔を思い出す様を表しているかのよう。昆虫好きの理系少年だった北さんの文学への開眼は乱歩とファーブルとのこと。父の斎藤茂吉氏や母妻娘、そして同時代に文壇を賑やかした仲間とのエピソードも興味深く読了。まずはマンボウシリーズを読まねば。2017/02/22

はじめ

5
北杜夫の気品のある文章で人生を回顧している。 実に沢山の食べ物が出てくる。父茂吉の客が持って来たカステラ、病床で嗅いだカレーの匂い、戦時に松高で食べたコーリャンカレー。食べ物の記憶は人の存在の根源に深く結びついている。最後にある、子供のころに姉と火鉢で焼いた餅の話は、とても切ない。徒然草にある「過ぎにしかたの恋しさのみぞせんかたなき」を想う。2014/08/15

shamrock

4
25年前にハマった北杜夫。日経の「私の履歴書」をまとめたもの。内容的には「青春記」「航海記」「医局記」等とかぶる部分もあるが、久々にマンボウ節を堪能。「楡家の人々」の裏話や、「白きたおやかな峰」に登場するポーター、メルバーンさんの御尊顔を拝めたりして、ファンとしては満足できる一冊でした。2013/11/11

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