出版社内容情報
【目次】
内容説明
日本社会では長年“なかったこと”にされてきた男性の性被害。加害者は、担任教師、実父、芸能事務所社長…。たった一人の勇気ある闘いが、重い扉を開け、闇のなかにいた被害者たちに光が差し込んだ。立ち上がり、少しずつ歩きはじめた人々の姿を追う。性被害者の実名告白、深層ノンフィクション。
目次
第1章 パンツ1枚の勝訴から始まった 栗栖英俊
第2章 「十中八九負けます」 石丸素介1
第3章 見過ごされた時限爆弾 赤池雄介(仮名)
第4章 ジャニー氏から受けた“通過儀礼” 二本樹顕理1
第5章 ダビデとゴリアテの戦い 二本樹顕理2
第6章 弟は父の性虐待で死んだ 塚原たえ
第7章 女優の告白 藤田三保子
第8章 時代の転換点 石丸素介2
第9章 声を上げた彼らのその後
著者等紹介
秋山千佳[アキヤマチカ]
1980年生まれ。早稲田大学政治経済学部卒業後、朝日新聞社に記者として入社。大阪社会部、東京社会部などを経て2013年に退社し、フリーのジャーナリストに(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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ガブリエル
4
性加害は“心の殺人”と呼ばれる。被害者はたった一度の被害でも心をずたずたにされるのに、信頼すべき実の親や教師に幼い子供が繰り返し性虐待を受けることの残酷さ。逃げ場もなく、警察や周りの大人に何度も訴えても誰も本気で取り合わず守ってもらえなかった被害児の絶望を思うと泣けてくる。裁判に訴えることへのハードル(時効のや証拠保全の問題)はまだまだ高い。どうか一刻も早く、子供の性被害の時効を撤廃してほしい。そして、児童性愛は愛でも嗜好でもなく病気だという視点で加害者を治療するシステムをしっかりと作り上げてほしい。2025/08/30
chuji
4
久喜市立中央図書館の本。2025年7月初版。文藝春秋電子版掲載『ルポ男児の性被害』に加筆・修正し、書き下ろしを加えたもの。氷山の一角。2025/08/10
トト
1
ジャニーズ性加害問題が世間を騒がせたのが2023年。長らく男子の性被害に関して世間は無頓着だった気がします。前後して、性被害にあった男子が大人になり苦悶するなか、裁判を通して声を上げ、世間に変化をもらたした。そういう人達のインタビューと裁判記録を元にしたノンフィクション。恋愛に性別や年齢や種族は関係ありません。しかし強者が弱者を支配して傷つける行為は、恋愛や嗜好ではなく、ただただカッコの悪い暴力行為。それとはまた別に加害者、被害者関わらず誹謗中傷をする行為もまたカッコ悪い。もう少し見栄を張っても良いのでは2025/08/28
せしる
1
男子の性被害に焦点をあてた、告白の記録。全員の性被害体験が残酷で加害者の手口が巧妙で卑劣。親子間、学校内という聖域を悪用した鬼畜の犯行。時代が加害者の隠れ蓑になっていたなら今こそ明るみにされ、処罰とケアが必要。自尊心を削がれ自暴自棄になり、自殺をしてしまった男性の話しに息が詰まりそうになる。どれほどの苦しみ、どれほどの悲しみ。2025/08/17
2138
0
児童の頃に性被害を受けた男は中年になってからその内容に向き合う事が多いというのが興味深い。告発してる被害者たちは同世代で、あの頃は子供が多くて教員の質が全く担保されない時代だったが、これからは恐ろしいほどの少子化でこの辺りはカバーされていくようになると思われる。 一人のモンスターみたいな加害者が千人単位の被害者を出すというので、これは医療に繋げて表に出さないなりの制度にしないとダメだろう。2025/08/20