出版社内容情報
歴史的背景、経済安全保障、領土問題――。第二次安倍政権で整備された安全保障政策体制にもとづいて日本の安全保障について包括的に解説する生きたテキスト。
●日本の安全保障体制をつくった当事者による力作
米国が中国の台頭に対してあからさまに嫌悪感を示し、なりふり構わず対抗策を示しています。ファーウエイをはじめとする中国ハイテク企業の除外はその典型例です。この方針はバイデン政権でも変わりません。日米安全保障の傘のもと経済のみを考えていられた幸せな時代は終わりをつげ、日本は他の諸外国と同様に安全保障を真摯に考えざるを得ない時代になっているのです。
しかし日本の安全保障は第二次安倍政権でようやく体制が整えられたばかりで(国家安全保障局の創設)、その仕組みや創設の背景などをきちんと説明した日本人のための安全保障論は未だにありません。
本書は、初代国家安全保障局長谷内正太郎氏(元外交次官)の懐刀として創設時から国家安全保障局次長を務めた兼原氏が、日本の安全保障のすべてを解説するもの。国際関係の現状認識から説き起こし、日本の安全保障政策体制の発展過程、官邸の機能、経済・技術安全保障の課題、日米同盟、歴史戦、インテリジェンス、韓国との付き合い方、領土問題の正しいとらえ方までを解説。日本の安全保障を2020年の視点で包括的にとらえた初めての本です。記者も学者も知らない安全保障体制の情報に基づく、生きた日本外交論のテキストです。
筆者は博覧強記の外交官。早稲田大学での講義の成果を『戦略外交原論』(日本経済新聞出版社刊)として世に問い大きな反響を呼びました、また戦後70年談話策定時には有識者会議を事務方リーダーとして牽引してもいます。近著『歴史の教訓』(新潮新書)は、なぜ日本が無謀な戦争に突入したのかをユニークな観点から明らかにしています。
本書で述べられている韓国論は、韓国公使としてつぶさに観察した経験に基づく腑に落ちる内容であり、領土に関する記述も歴史的経緯と国際法の常識に基づいた非常に説得力の高いものになっています。学者の知らない官邸の機能、官僚の実情に関する豊富な情報に基づく本書は、安全保障論の決定版テキストです。
内容説明
国家安全保障会議(NSC)、インテリジェンス、日米同盟、対中関与、サイバー戦、経済安全保障、歴史戦、日本の領土―。歴史、論理、制度、課題を徹底解説。
目次
第1部 国家安全保障組織論(安全保障政策決定過程における政治主導の復活;新しい総理官邸と国家安全保障会議;国家安全保障会議(NSC)の創設
国家安全保障局(NSS)の創設
シビリアンコンロール貫徹のための具体的提言―政治主導下の「政と軍」
日本のインテリジェンス)
第2部 国家安全保障戦略論(自由主義的国際秩序と自由主義、民主主義;戦略的安定と国家の安全;日米同盟の変遷と成熟;自由貿易体制、海洋立国戦略、投資立国戦略;対中関与大戦略と自由主義社会;日本と韓国―アイデンティティのアジア政治)
第3部 サイバー戦、歴史戦、日本の領土(サイバー戦、宇宙戦と科学技術・経済安全保障;国内冷戦から生まれた歴史戦の国際化;日本の領土と歴史(1)―サンフランシスコ平和条約、北方領土、竹島
日本の領土と歴史(2)―尖閣諸島)
著者等紹介
兼原信克[カネハラノブカツ]
1959年山口県生まれ、80年外務公務員採用上級試験合格、81年東京大学法学部卒業、同年外務省入省、条約局法規課長、総合外交政策局企画課長、北米局日米安全保障条約課長、在アメリカ合衆国日本国大使館公使、総合外交政策局総務課長、外務省欧州局参事官、在大韓民国日本国大使館公使、内閣官房内閣情報調査室次長、外務省国際法局長などを経て、2012年内閣官房副長官補、14年内閣官房副長官補兼国家安全保障局次長、19年退官。現在、同志社大学特別客員教授(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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