出版社内容情報
現代俳句の若手を牽引する著者の第一エッセイ集!なにげない日常生活での発句の一瞬を透明な文章で活写。読むと俳句をつくりたくなる
内容説明
幼い息子の声、母乳の色、コンビニのおでん、蜜柑…日常の会話や風景が、かけがえのない顔をして光り出す。俳句甲子園世代の旗手、待望の初エッセイ集。
目次
第1章 ここもまた誰かの故郷氷水―夏(季節を感じとる力;全部やだ男 ほか)
第2章 檸檬切る記憶の輪郭はひかり―秋(寂しいと言って;沈黙の詩、静寂の世界 ほか)
第3章 負けてもいいよ私が蜜柑むいてあげる―冬(逢いたかったよ;私の働き方改革 ほか)
第4章 短めが好きマフラーも言の葉も―俳句(しづかなる水;じいんじいん ほか)
第5章 母乳ってたんぽぽの色雲は春―春(薄氷を踏んで;わたしの子規 ほか)
著者等紹介
神野紗希[コウノサキ]
俳人。1983年、愛媛県松山市生まれ。高校時代、俳句甲子園をきっかけに俳句を始める。2002年、第一回芝不器男俳句新人賞坪内稔典奨励賞受賞。NHK‐BS「俳句王国」司会、Eテレ「俳句さく咲く!」選者などを務める。お茶の水女子大学大学院博士後期課程修了。2018年、『日めくり子規・漱石 俳句でめぐる365日』で第三十四回愛媛出版文化賞大賞受賞。現代俳句協会青年部長。明治大学・聖心女子大学講師(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。
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感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
けんとまん1007
63
今の季節にピッタリ。暖かくなり始めてきた、春の日差しの中にいるような気持ちになれる。日々の営みを、何気ない言葉で綴られているのだが、そこがやがり、俳人の眼があって、少しだけ切り取り方が違うように思う。神野さん自身の変化(特に、お子さんの誕生と成長)も描かれていて、微笑ましい。ますます、俳句に興味を持った。一句、ひねってみようかなあ~・・・。2022/04/06
チェアー
16
同じイベントに接しても、子どもができる前と後とでは感じ方が違う。しかも子ども子どもなりに感じていて、その感じ方も新鮮に思える。日々のなにげない感じ方を俳句や詩歌をまじえながら描いていくエッセイ。文章がすっきりしていて読みやすかった。俳句がどのようにできているかも分かって楽しい。2019/12/15
もえ
14
俳句の聖地松山に生まれ、高校時代に出会った俳句甲子園がきっかけで俳人となった神野紗希さんのエッセイ集。日常の中で詠まれる俳句はどれも親しみやすく、あらためてみずみずしい日本語の美しさに驚嘆する。結婚して子育てしていく中で詠まれる俳句も、四季折々の身近な生活を楽しんでいる。帝王切開中の痛みも高浜虚子の句を唱えながら乗り切るという、根っからの俳人である紗希さん!3歳の息子の言葉が詩的で(それを受け止める紗希さんの感性も鋭い)、病臥中の子規の目線と同じく、子どもの目線でしか捉えられない美があるというのに納得。2023/05/22
テイネハイランド
11
図書館本。松山生まれの俳人・神野紗希さんのエッセイ集。自作の俳句をはじめ他の人の俳句(「書を読むや蚊にさされたる足の裏 子規」)や短歌(「呼吸する色の不思議を見ていたら「火よ」とあなたは教えてくれる 穂村弘」)が引用されていて一種のアンソロジーとしても読めます。神野さん自身の句にはそれほど感心はしませんでしたが、彼女の文には見るべきものがあるように思いました。本書の文では、故郷・瀬戸内海の海の情景と他所の海の情景とを比較してイメージの違いについて思いをめぐらした「その町のかき氷」が一番印象に残りました。2023/07/16
あんず
8
俳句の知識はないけどエッセイが気になり手に取った本。読み終わった後、すっかり俳句を勉強する気になっていた。話の中でいろんな俳句が出てきて、それにまつわる話や解釈も書いてあり、知っていたらもっと楽しく読めるのではないかと思った。正岡子規と夏目漱石の仲が良いことなんて知らなかった。2人のことなども書いてあり、面白く読んだ。エッセイも素晴らしく、日常を少し俯瞰して見ているように思えた。俳句って素敵だなと思えた本だった。2025/02/11
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