夢見鳥

中村 吉右衛門【著】

日経ＢＰＭ（日本経済新聞出版本部）（2019/08発売）

• サイズ 46判／ページ数 279p／高さ 20cm
• 商品コード 9784532176709
• NDC分類 774.28
• Cコード C0074

出版社内容情報

テレビ時代劇「鬼平犯科帳」の主人公、長谷川平蔵役でお茶の間でも幅広い人気を誇った歌舞伎界の重鎮が、75年の半生を「です・ます」調の丁寧なやわらかい筆致で真摯に綴る自伝的エッセイ集。
著者自身が書名につけた「夢見鳥」は「蝶」の異名であり、吉右衛門の屋号「播磨屋」の家紋は「揚羽蝶」。この書名が著者の人生を象徴していると言っても過言ではありません。一代で名優にのぼりつめた初代の名跡を継ぐ宿命のもとに生まれ、その重圧に押しつぶされそうになりながら、先達に学び精進して芸を磨き上げてきた俳優人生は、日本の伝統芸能である歌舞伎を、真の世界遺産である舞台芸術にすべく、高みを目指す闘いでもあったことが、本書の端々から伝わってきます。人間国宝に指定された、そのいぶし銀の演技が育まれてきた半生を綴る言葉は、歌舞伎ファンのみならず、舞台芸術、ひいては絵画やクラシック音楽の愛好者まで魅了することでしょう。

第一章と第二章は2018年7月に著者が日経新聞朝刊に連載した「私の履歴書」を元に加筆、第三章はインタビューを元に構成された本書オリジナルです。
4歳の初舞台から、75歳の令和の舞台まで、歌舞伎公演、舞踊公演、テレビドラマ、映画まで一挙網羅した上演記録を巻末に付し、当たり役の舞台写真も豊富に収録しています。

内容説明

一代で名優にのぼりつめた初代の跡を継ぐという重み。それが、先人の築きあげてきたものを真摯に受けとめ、さらなる高みを目指して、たゆまぬ修業に向かわせた。現代歌舞伎の第一人者が７５年の半生を振り返る。４歳の初舞台から、歌舞伎を中心に７０余年にわたる上演記録を一挙掲載。

目次

第１章　宿命（誕生；疎開と終戦；初代の功績　ほか）
第２章　二代目（襲名；一・ツラ、二・声；結婚　ほか）
第３章　芝居への想いを語る（俊寛；熊谷；大蔵卿　ほか）

感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

[inarix]

「歌舞伎美があって、心を表す型によって魂をお客様に届けること。様式だけではない、気持ちを共有してもらえるのが歌舞伎だと思っています」生まれる前から決まっていた、一代で名優へとのぼりつめた初代の名跡を継ぐという運命。4歳で初舞台を踏み、役に向き合うこと70余年。迷いながら、悩みながら芸を磨き上げる修行の日々。今なお至高の演技を目指す二代目中村吉右衛門の半生記。先日九月大歌舞伎の『引窓』を観に行ったところ。ありえない詭弁を弄して危機を切り抜ける、不思議な説得力は吉右衛門さんだからこそ出せる技でした。播磨屋！

2020/09/27

[犬養三千代]

中村吉右衛門の「私の履歴書」の書籍化。養子という立場の微妙な、座り心地の悪さが感じられた。 藤間久信から波野辰次郎へ。 中村萬之助から吉右衛門。吉右衛門(役者)松貫四(戯作者)秀山(プロデューサー)と名前を分けている。 フランス語も達者、絵心、俳句など多才。恵まれた(豊かという)中の屈折した思いが伝わる。ばあやに育てられたことを感謝し自分の道を見つけた吉右衛門は凄い。大好きな役者さん、孫「丑之助」君とできるだけ長く舞台を勤めて頂きたいです。

2019/09/16

[チョビ]

韓国の奥様、なぜ「鬼平犯科帳」に夢中じゃないの？先日亡くなられ＆ドラマの弁慶で小学生のチョビをノックダウンさせた稀代の盟友の「私の履歴書」。文章は面白いし、自分のことよりまず先祖代々の歌舞伎役者へのリスペクトが清々しい。正直歌舞伎そのものはお金を払ってまで…の無教養ものではあるが、筆者のクールな執念はなんとも不思議な感覚。

2022/01/01

[choku_tn]

養父（祖父）、実父、実母からのプレッシャーを受け、葛藤し苦しみながら歩んだ過程の厳しさに身がキリキリした。ジャズ、ポリーニのピアノをはじめとする音楽への広い関心など役者以外の部分は楽しく読める。 日経朝刊文化面「私の履歴書」連載をもとにした半生記のほか、当たり役に関する述懐、4歳の初舞台から75歳までの上演記録を付す。

2022/11/09

[sakase]

「私の履歴書」

2020/01/26