内容説明
最後のひとりになったとしても、私は決してあきらめない。あきらめなければ道は開ける―。幾多の困難にもくじけることなく、青色LEDの基礎技術を確立させた“不屈の研究者”が語る。
目次
序章 コバルトブルーに魅せられて
第1章 「好きなことをやればよい」
第2章 結晶・光・半導体―神戸工業、1回目の名古屋大学時代
第3章 「我ひとり荒野を行く」―松下電器東京研究所時代
第4章 未到の項へ―2回目の名古屋大学時代
第5章 フロンティア・エレクトロニクスへの挑戦―いま名城大学で
終章 研究者人生を振り返って
著者等紹介
赤崎勇[アカサキイサム]
名城大学教授(終身)、名古屋大学特別教授・名誉教授。工学博士。1929年鹿児島県生まれ。京都大学理学部卒業。神戸工業(株)、名古屋大学、松下電器産業(株)東京研究所を経て、1981年名古屋大学教授(工学部電子工学科)、1992年名城大学教授(理工学部)。1998年結晶成長学国際機構Laudise賞、2000年度朝日賞、2004年文化功労者、2009年京都賞、2011年IEEE Edison Medal受賞、2011年文化勲章受章。IEEE(米国電気電子学会)ライフフェロー、NAE(米国工学アカデミー)外国人会友(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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luther0801
17
▼先日、赤﨑先生のフォーラムに行ったのをきっかけに読了。▼研究者としての一途な思い・信念に基づいた成果が、この青色LEDである、との自叙伝。先輩・同僚・後輩など人名が多く出てくる。みんなに感謝している、という思いも伝わる。先生は成果も出し栄誉も受けているが、一方、成果が出なかった研究者も一杯いるのだろう。しかし、そういう努力も後世に役立っているのだろう。▼「文質彬彬(ぶんしつびんびん=中が良ければ外も良くなる)」印象的な一語。▼専門用語も丁寧に説明されているが、私のようなド素人には、理解はできなかった。2016/02/23
のぶのぶ
17
浜松科学館で、天野浩さんにちなみ青色LEDの特別展を見に行った。興味が湧き、この本を読み始め、後半は一気読み。元素構造や波長の話、励起、大学の時にかじっているので、そうなんだあと納得しながら読めた。「文質彬彬」ぶんしつひんぴん、中がよければ、外見もよくなる、高品質な結晶を作ることでブレイクスルーしたところは感動!!あきらめないこと、自分の信念を貫く、運命、一つ一つの経験が青色LEDに繋がっていることが分かった。研究の成果が出て認められる、世の中が変わっていくのには、本当に時間がかかるなあ♪2015/01/12
うーさん
10
エンジニア1年目の自分にとって、非常に刺激的な内容だった。不撓不屈の精神で頑張ろう。2016/05/17
みさ
8
青色LEDができるまでを赤崎さんの歩みと共に描いたもの。要所要所で人からのお声かけで仕事が変わって行ったりお世話になった方々を登場させてさりげなく謝意を表す赤崎さんのお人柄が伺われる気がした。みんなが窒化ガリウムは無理だと諦めた後もご自身の知識と経験から揺るがぬ意思で研究を続けたその姿勢は脱帽もの。各章の最後に挟まれるコラムもアメリカに行った時に駅で寝ちゃった話とか、ヨーロッパに行くときにソ連に強制着陸させられた話とか面白かった。半導体についての説明も分かりやすく、もっと詳しく知りたい気持ちにさせられた2020/02/01
uenos
8
祝ノーベル物理学賞受賞記念読書。青色LED開発の話だけでなく、幼少期から学生時代や戦争体験の話、そして就職してからの長い研究者時代の成果や苦労が語られている。小学校時代の先生の言葉が、先の見えなかった困難な研究の心の支えになっていたのには驚いた。窒化ガリウムの結晶の作成に成功したのは電気炉が故障していて温度が上がらなかったのが功を奏したような報道をされていた。それは事実らしいが、本書を読んでそれまでの長い研究や窒化ガリウムに対する執念の賜物がその成果だということがわかる。コラムの酒の失敗談も面白かった。2014/11/06