出版社内容情報
エントロピーは、自然現象に対するものの見方を深める意味で非常に重要な物理の概念。本書は数式を極力用いずに、身近な具体例を使ってエントロピーをやさしく解説する。要望が多かった「なぜエントロピーが増えるのか」と「ボルツマン分布」の解説に紙幅を割いた第2版。
内容説明
エントロピーは、自然現象に対するものの見方を深める意味で非常に重要な物理の概念です。本書は数式を極力用いずに、身近な具体例を使ってエントロピーをやさしく解説しています。
目次
第1章 エントロピーって何だろう
第2章 エントロピーを学ぶ前にこれだけは知っておこう
第3章 いざエントロピーに挑戦!
第4章 身近な現象や技術をエントロピーで見ると
第5章 「エネルギー・環境」問題とエントロピー
第6章 エントロピーの秘密に迫る
著者等紹介
石原顕光[イシハラアキミツ]
1993年横浜国立大学大学院工学研究科博士課程修了。1993~2006年横浜国立大学工学部非常勤講師。1994年有限会社テクノロジカルエンカレッジメントサービス取締役。2006~2015年横浜国立大学グリーン水素研究センター産学連携研究員。2014~2015年横浜国立大学工学部客員教授。2015年~横浜国立大学先端科学高等研究院特任教員(教授)(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
徒花
127
まあまあおもしろかった。聞いたことはあるけれどイマイチ意味がよくわからないエントロピーという概念について、なんとなくわかった気分になれる一冊。全項目が見開き完結になっていて、左ページにイラスト図版を入れてくれているのでとにかく読みやすい(最終章以外は)。なにをしてもエントロピーは増大を続けるし、なぜ増えるのかは「そうなっているから」としかいえない。そして質量もエネルギーもつねに一定で、ただ状態が変わっているだけに過ぎない。これは本書で例示されているように、禅的な考え方に近いかも。そして太陽はすごい。2020/12/07
ゲオルギオ・ハーン
28
確かにトコトンやさしいエントロピーの本だった。細かいところをもっと掘り下げてほしいと思う気持ちもあるが、通読するだけで分かる(気になっているだけかもしれないが)。個人的に熱力学が好きなこともあるので、エントロピーの話は面白い。温かいところから冷たいところへエントロピーは移動する。地球全体で見れば水によってエントロピーが運ばれるシステムになっている。エントロピーで考えると再生可能エネルギーなんて存在しない(再生しているのではなくて利用可能なエネルギーが増大している)など興味深い視点がいくつもあった。2023/02/08
かんやん
27
熱力学の第一法則が「エネルギー保存の法則」で、エネルギーは変換されるけど、方向があるよというのが、第二法則「エントロピー増大の法則」。太陽光で地面は温まるけど、じゃ夜になんとか地面を温めたら光を出すか?出さないよ、と。光・化学・位置など様々なエネルギーの質が悪くなる、つまり熱くなるというのが方向。では、冷蔵庫やエアコン、冷却剤では、エントロピーは減少しとるやないか!それはそうなんだけど、冷蔵庫の裏やエアコンの室外機は熱くなってるでしょ。全体で見れば、やっぱりエントロピーは増大しとるんです。2020/10/03
うぃっくす
9
エントロピーについて昔何冊か本を読んだときは乱雑さとか不可逆現象とかのざっくりしたことしかわからなかったけどこの本工業とか産業によってるからわかりやすかったな。これはトコトンやさしかったかも…。物質のエントロピー(狭いところから広いところへ)とエネルギーのエントロピー(運動や光エネルギーが熱エネルギーへ)の合計を考えて全体のエントロピーは必ず増大する、という考えの基本がわかってよかったな。ところで概念であるエントロピーに単位とか計算式つけるからよりわかりにくくなるのでは…。2023/02/10
つっきーよ
1
熱は高いほうから低いほうに行く。物質は拡散する。そして、それらは自然にはもとに戻らない。これらの自然現象の事をエントロピーと呼ぶ。エントロピーはエネルギーの質の低下が起こる、または、物質の存在空間が増大する事により増大する。そして、その二つの和で全体のエントロピーが決まる。例えば、水が蒸発する時、物質空間は増大するのでエントロピーが増大し、周りから吸熱をする。水自体は分子が拡散するため、エネルギーの質が悪くなり、発熱をする。けれど、全体のエネルギーとしては吸熱のほうが大きいので現象としては吸熱が起こる。2024/01/09