出版社内容情報
序 文
企業が変化の時代を生きるための鍵は,なんといってもリードタイムの短縮であろう.リードタイムは,企業という生き物の反射神経である.その反射神経が鈍くては,激変するいまの経済環境を乗り切ることは難しい.それゆえ,どの企業でもリードタイム短縮や納期短縮が,企業革新の目標となっている.
よくQCDは,生産のテーマといわれる.これは,「良い品質(Quality)のモノを,安く(Cost),速く(Delivery)生産する」ことを示している.このQCDのなかで,リードタイム短縮はDで表現される.
しかし,あくまでも生産の基本テーマはQCDであり,QとCはすでに企業間競争の当然の前提となっている.Dだけに目を奪われて,QとCをおろそかにすることはできない.
ところがいま多品種化の波の中で,一度築き上げたはずの品質が,もろくも崩れ去っていく例が,かなり多く見られる.「Made In Japan」は,世界の品質の合言葉でもあったはず.それさえも,崩れようとしている.
もう一度,モノづくりの原点に戻ろうではないか.そしてこれまでの,統計的品質管理を基礎としつつ,不良の出ない・出せないモノづくりを確立したい.それが,本書のテーマでもある源流検査,自働化,ポカヨケである.
本書の第1章と第2章では,製造企業および生産管理における品質の位置づけとその重要性を説いている.第3章では,品質に対する基本的知識を身に付けるために,統計的品質管理をとり上げた.
第4章と第5章では「不良ゼロ」をテーマとし,従来の品質管理の盲点や,新しい考え方を示している.そして第6章では,不良ゼロ・削減化の具体的技術について,組立と加工に分けて述べている.さらに第7章では自働化,第8章ではポカヨケについてその考え方と技術体系,さらにふんだんな事例をも盛り込んで説明している.
不良は,出たあとに検査をしてはじくのではない.製品をつくるその場,その時点において,源流検査を基盤とした不良の出せない仕組みの中で,製品をつくり上げていくのである.そして「品質は工程でつくり込む」ことをスローガンだけに終わらせず,実務面でしっかりと定着させるべきである.こうしたことを踏まえたうえで,本書は全体を構成し,解説している.
2001年10月 平野 裕之
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第1章 製造企業と品質 3
1.1
目次
第1章 製造企業と品質
第2章 生産管理と品質
第3章 統計的品質管理
第4章 不良ゼロへ向けて
第5章 不良ゼロの意識改革
第6章 不良ゼロ・削減化
第7章 自働化
第8章 ポカヨケ
著者等紹介
平野裕之[ヒラノヒロユキ]
20世紀に新たなIE(変化に強いムダ取りの思想と技術)を確立することを宣言。また「生産は音楽である」などのユニークな主張を掲げ、日本国内はもとより、欧米やアジアの企業数十社へ、ジャストインタイム(=JIT)生産方式による生産現場の合理化改革の指導を行っている
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