出版社内容情報
《内容》 心筋梗塞や脳梗塞などの血栓症は,日本人の死因の上位を占める疾患となっている.本書では,それらを血栓症として統一的に扱い,基礎から臨床までをわかりやすく解説.血栓症疾患の診療は,心筋梗塞や脳梗塞など臓器別に扱われるが,それらの発症メカニズムは統一的な理解が必要である.研修医から臨床医までの幅広い読者を対象とし,診断と治療に必要な知識が身につく実際書.
《目次》
【主要目次】
1.身近な病気―血栓症
A 臨床医の誰もが出くわす恐怖―血栓性疾患
1)なぜ血栓性疾患の勉強をしなければならないのか
B 院内で突然発症する恐い病気―肺血栓塞栓症
1)肺血栓塞栓症はどうして起こるのか
2)急性肺血栓塞栓症の原因としての深部静脈血栓
3)急性肺血栓塞栓症の診断と初期診療
C 生活習慣病のなれの果て-心筋梗塞,脳梗塞,末梢動脈血栓性閉塞
1)なぜ動脈血栓症になるのか
2)動脈血栓の形成には血小板が重要な役割を果たす
3)動脈系の血栓に対する初期診療
D 高齢者のcommon disease-心房細動と脳血管疾患
1)心房細動時の左房内血栓の形成メカニズム
2)非弁膜症性の心房細動における血栓塞栓症の発症リスクとその理由
3)非弁膜症性の心房細動をみたら
2.血栓性疾患に遭遇したらどうするか
A 急性期の治療法―血栓溶解療法
1)どのような病態,疾患に対して血栓溶解療法を施行すべきか
2)血栓溶解療法の仕組み
3)血栓溶解療法の実際
B 再発しないために―抗凝固療法と抗血小板療法
1)抗血小板薬による血栓性疾患の発症予防効果
2)抗凝固薬による血栓性疾患の発症予防効果
3)抗血小板療法,抗凝固療法の実際
3.抗血栓療法の詳しい話―臨床医には必須です
A できた血栓を溶かす治療―血栓溶解療法
1) 体の中にできた血栓はどうやって溶けるのか―線溶メカニズムの詳細
2) 早く血栓を溶かす薬―線溶薬の種類と特徴
3)血栓溶解療法の実際
B 血栓をできなくする方法―抗凝固療法と抗血小板療法
1)抗凝固療法,抗血小板療法―どこが違うの
2) 静脈系の血栓形成を予防する抗凝固薬―種類と特徴
3) 動脈系の血栓形成を予防する抗血小板薬―種類と特徴
4) 新しいメカニズムによる抗血栓療法の可能性
4.難しいけれど大事な話―なぜ血栓症になってしまうのか
1) 血栓症にも種類がある-動脈血栓と静脈血栓
2) 血液凝固とフィブリン形成のメカニズム
3)血小板血栓の形成メカニズム
4) 血小板と凝固系の相互作用
5.病態に応じた最適の治療戦略
A 冠動脈の血栓性疾患―急性冠症候群
1)急性冠症候群の一次予防
2)急性冠症候群の二次予防
3)急性冠症候群の急性期の治療
4)経皮的冠動脈形成術,ステント挿入時における抗血小板薬の使い方
B 心腔内血栓の脳血栓塞栓症―心房細動と心原性脳塞栓症
1)リスクの分類
2)抗血栓治療の実際
3)抗血小板療法の意義
C 静脈系の血栓性疾患―深部静脈血栓症と肺血栓塞栓症
1)血栓溶解療法の適応
2)肺血栓塞栓症急性期の抗凝固療法
3)深部静脈血栓症への対応
4)再発予防
6.目で見る血栓―血栓とはどんなもの
A どのようにして血栓はできるのか―血栓の微細構造
1)動脈の血栓形成
B 血栓はどうなるの―血栓の運命
1)血栓の成長
2)血栓の溶解
3)血栓の器質化
C 血栓はどのように見えるのか
1)心臓の血栓
2)脳血栓,脳梗塞
3)慢性動脈閉塞症
4)深部静脈血栓症と肺血栓塞栓症
D 最近のトピックス
1)血栓吸引療法
2)マイクロパーティクル
3)vWF分解酵素
7.近未来の抗血栓治療―今後の抗血栓治療はどうなるか
1)現在開発中の抗血栓薬
2)血栓症の遺伝子治療は可能か
3)理想的な抗血栓薬―出血しない抗血栓薬をどのように作るか
4)21世紀の抗血栓薬