内容説明
商学とは多くの場合、商業学ないし商業論、貿易論、金融論、証券市場論、交通論、保険論などの集合を包摂する総称としての意味を与えられているにすぎない。しかし、これ等の諸学が商学という総称のもとに、あるまとまりを形成している如くに意識されている背後には、そのようなまとまりを意識させるある共通の性格が存在するはずである。それは、これら諸学(商学諸学とでも呼びうるもの)はすべて、財の社会的移動に関する人間行動を究明しようとする共通の志向を持っているという事態の内部に求めることができる。商学諸学の持つ、この共通の志向の次元において、商学に共通する基礎的原理を解明しようとするのが、本書の目的である。本書が、「商学入門」でも「商学総論」でもなく「商学原理」と名づけられている所以である。
目次
第1章 商学の認識対象・方法と商学原理の課題
第2章 取引・交換の発生と展開
第3章 取引の一般理論―取引の構造と過程
第4章 取引の特殊理論―マーケティング・トランザクションの構造と過程
第5章 商学体系と商学研究の展開