内容説明
バブル崩壊以降、企業の人事・賃金システムは日本型成果主義システムが導入され大きく変わったかに見えましたが、若手より中高年、女性より男性、独身者より家族持ち、非正規社員より正社員と、根本のところではこれまでと変わりありませんでした。しかし、政府が働き方改革の目玉として進める「同一労働同一賃金」により、日本企業の人事・賃金システムが大きく変わろうとしています。本書では、著者の長年にわたる人事コンサルタントとしての知識・経験を踏まえ、同一労働同一賃金によって企業の人事・賃金システムはどのように変わるのか、正社員、非正規社員(派遣社員、パート・アルバイト)など、雇用形態による待遇にどのような変化が起こるかについて考察します。
目次
第1章 同一労働同一賃金って、どういうこと?
第2章 非正規社員へのインパクト
第3章 正社員へのインパクト
第4章 「働き方改革」に要注意
第5章 寿命百年時代の人事のあり方
第6章 経営者・役員はどうなる
第7章 業界別の人事環境と方向性
第8章 結局、どうしたらいいの?
著者等紹介
山口俊一[ヤマグチシュンイチ]
(株)新経営サービス常務取締役、人事戦略研究所所長。人事コンサルタントとして25年超。約500社の人事・賃金制度改革を支援してきた人事戦略研究所を立ち上げ、現在に至る(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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かおりん
13
日本の雇用習慣に横たわる給料格差は、年齢や家族構成、定年前と定年再雇用などがある。政府が同一労働同一賃金を実現させるには壁がある。優遇されてきたのは正社員の家族持ちの定年前の全国社員、いわゆるオジサンたち。有利な取り扱いを受けている人の処遇を引き下げて対処することは許されないらしい。最低賃金は上昇しても、主婦層の配偶者控除の要件が変わらない限り意味のないものになる。平均賃金を上げるには生産性をあげること。営業時間の延長や24時間営業は低賃金定収入のスパイラルにはまっている。今後どうなっていくんだろう?2017/12/07
Humbaba
3
同じ仕事をするならば同じだけのお金を支払って欲しい。それ自体は非常にわかりやすい主張である。しかし、企業からしてみれば今以上に支払う金額を多くするのは避けたいところでもある。だからこそ、作業内容をより明確にすることで、一見同じ作業のように見えても責任範囲が違ってくるということが示されるようになる可能性が高い。2018/01/06