出版社内容情報
OECD等の議論を踏まえ、移転価格問題に対する経済原則に基づく分析手法を明らかにする。
内容説明
移転価格問題という国境を越えた税金(法人所得税)の奪い合いは、企業からみて非常に困難な問題であったが、一部の企業ではその対応力を高めた結果、どの国でも税金を払わないといういわゆるBEPS(税源浸食と利益移転)の問題が、近年急速に注目を集めている。また、特に無形資産取引の重要性の増大、バリューチェーンの中で本社や本国を通らずに海外で生産して販売する外‐外取引の増大など、従来型の移転価格対応で困難とされてきた領域に、ますます焦点が当たるようになってきている。このような中で、特に事業活動から生み出される付加価値と移転価格との整合性をどのように確保するか、そして移転価格の妥当性の検証のための客観的な手法をどのように適用するかなどを含めて、移転価格コンサルティングの経験から移転価格に関連するさまざまな論点についての考え方や対応方法について、関連者間取引の実態、実務に立脚して解説した。
目次
見直される移転価格の原則
第1部 BEPS問題のインパクトと対応(BEPSの議論と移転価格のあるべき姿;利益分割法の論点;事業再編と移転価格)
第2部 今日の移転価格対応における諸問題(国内外の移転価格規制の動向;移転価格における機能とリスク;移転価格分析における比較可能性の評価)
第3部 移転価格対応の精度アップのための論点(著しい景気変動期における移転価格対応;市場の特殊要因についての対応)
第4部 移転価格と無形資産評価(無形資産とその所有権をめぐる最近の議論;無形資産の評価アプローチ ほか)
第5部 移転価格対応に向けたその他の論点(移転価格対応のための社内体制の整備に向けて;関連者間金融サービス;移転価格と関税;無形資産の移転価格途知財訴訟との接点)