内容説明
本書はわが国の農業における簿記の役割について考察している。農業者を一律に捉えるのではなく、タイプ別に5つに分類したうえで、簿記がどのような役割を果たすことができるかについて検討している。第1部では、従来の農業簿記がわが国の農業効率化に寄与しきれなかった理由について、制度的・理論的・教育的・実務的に考察している。第2部では、農業者を5つにモデル分けし、それぞれがどのような「記録」を行い、簿記がどのような役割を発揮しているかについて詳細なヒアリング調査を行っている。第3部では、簿記会計的視点から、第2部でモデル分けした農業者に対して具体的な提言を行っている。
目次
第1部 従来の農業簿記の問題点(記録のインセンティブを奪う制度的問題点;複式簿記の難しさから見た理論的問題点;明治初期における農業簿記教育導入時の問題点;農業高等学校における農業簿記教育の問題点;税務および補助金から見た実務的問題点)
第2部 日本の農業者のモデル別分析(日本の農業者のモデル分け;小規模兼業農家(モデル1)の分析
自立志向農家(モデル2)の分析
農業法人(モデル3)の分析
農業法人における会計管理の実際―農事組合法人「さだしげ」における複式簿記の導入を事例として
6次産業体(モデル4)の分析
農業関連上場企業(モデル5)の分析―民有林における立木資産の会計処理の考察
IAS41号が日本の農業会計へ及ぼす影響)
第3部 日本の農業者に対するモデル別提言(記録および簿記の意義とその相互関係;モデル1およびモデル2農家に対する提言―JAおきなわの新たな取組みを中心として;モデル3農業法人およびモデル4事業体に対する提言―農業ファンドの活用を中心として;モデル5農業関連上場企業に対する提言―IAS41号適用企業の分析を中心として;全体総括―日本の農業者に対するモデル別提言)
著者等紹介
戸田龍介[トダリュウスケ]
神奈川大学教授。九州大学大学院経済学研究科博士課程修了(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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