スモールワールド―ネットワークの構造とダイナミクス

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スモールワールド―ネットワークの構造とダイナミクス

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  • サイズ A5判/ページ数 314p/高さ 22cm
  • 商品コード 9784501540708
  • NDC分類 415.7

内容説明

本書は、コンピュータウイルスやAIDS、鳥インフルエンザなどの感染症の拡散問題/いかに電力線やインターネット、携帯電話など情報通信ネットワークの耐故障性を高くするか/脳神経細胞のような生体振動子の同期現象の理解/アイデアとアイデアのつながりから新たなアイデアを創出する仕組み/新しい市場経済理論/流行や社会動向の普及モデルなど。さまざまな問題にアプローチするスモールワールド現象を論じたダンカン・ワッツのオリジナルであり、その原点である。

目次

ケビン・ベーコンとスモールワールドの意外な関係
第1部 ネットワークの構造(スモールワールド現象の概要;広い世界と狭い世界―グラフによるモデル化;解釈と考察;「結局、世界は狭い」―三つの現実のグラフ)
第2部 ネットワークのダイナミクス(構造化された集団での感染性疾患の拡散;セルオートマトンによる全体的計算;スモールワールドでの協調―グラフ上でのゲーム;結合振動子における大域的な集団同期)
むすび

著者紹介

栗原聡[クリハラサトシ]
慶應義塾大学大学院理工学研究科計算機科学専攻前期博士課程修了(1992)。博士(工学)(2000)。職歴:日本電信電話株式会社(1992)、NTT未来ねっと研究所(1997‐2004)、慶應義塾大学大学院政策・メディア研究科専任講師(1999‐2002)、大阪大学産業科学研究所(大学院情報科学研究科)助教授(2004‐)

佐藤進也[サトウシンヤ]
東北大学大学院理学研究科前期課程修了(1988)。職歴:日本電信電話株式会社(1988)。NTT未来ねっと研究所(1999‐)

福田健介[フクダケンスケ]
慶應義塾大学大学院理工学研究科計算機科学専攻後期博士課程修了(1999)。博士(工学)(1999)。職歴:日本電信電話株式会社(1999)。NTT未来ねっと研究所(1999‐2005)。ボストン大学訪問研究員(2002)。国立情報学研究所情報基盤研究系助教授(2006‐)(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)

出版社内容情報

 この本を実質的に書き終えたのは1997年の秋であり,ちょうど私の博士論文が審査を通過したころだったのだが,それ以来,“ネットワークの科学”として知られるようになった分野において非常に多くのことが起きている.ISIの論文引用インデックスでざっと調べてみただけでも,この序文を書いている時点で,1300以上の出版物が,この本の初版が出るほぼ1年前に出版された“スモールワールド”ネットワークに関する最初の論文を引用していることがわかる.そして,それらの出版物のうち300を超えるものの標題に“small-world”という言葉が含まれている.短い期間に広まり,急激に成長したこの研究分野の成果は,量が膨大であり,ここでまとめて紹介するには複雑すぎる.しかし,幸運なことに,興味深い研究のほとんどを網羅した優れた解説記事や書籍が存在する.また,“古典的”な論文を選んで編集したものが,この原著の出版社であるPrinceton University Pressから近々出版される予定である.
 これらの研究には,本書で示した概念,モデル,あるいはシミュレーションの結果をそのまま受け継いでいるものもあるが,新しい概念を導入しているものも数多く存在する.たとえば,Herber Simonによって考え出され,後にDerekにより発展させられた(“富める者はますます富む”という表現でも知られている)累積的優位性(cumulative advantage)という概念は,ランダムネットワークの成長という文脈でとらえ直され,詳しく調べられた.この研究の成果として,次数の分布が重要な意味を持つことがわかったのだが,本書ではこの話題についてほとんど触れていない.次数分布に着目して,ランダムネットワークの一般的なモデルを提案している研究も多数存在する.さらに,頂点間の次数相関(次数の“アソータティビティ”)に着目しているものや,いわゆる“所属関係ネットワーク”に焦点を当てている研究もある.これは,無作為にグループが割り当てられた個々人に,(同じグループに属しているという)“所属関係”でつながりが与えられているネットワークである.ネットワークにおける各頂点の中心性を求めたり,ネットワークをコミュニティに分割するといった,ネットワークの構造的特徴を計算により解析する新しい方法も開発されてきた.さらに,構造に関係するが,それだけにとどまらないネットワークの特徴についても広く研究が行われてきた.例として,障害や輻輳に対する耐性,情報や評判あるいは病気の伝播に対する感受性,そして,情報が集中管理されていない状況下での検索の容易性などが挙げられる.
 では,なぜあなたはこの本を読む必要があるのだろう?数多くの新たな研究成果と,それらをまとめた最新の記事があるというのに,歴史上の遺物と化しつつあるものを読むことにどんな意味があるのだろうか?これはもっともな疑問だろう―――というのも,何と言っても科学は積み重ねの学問であり,それぞれのアイデアの出発点にいちいち立ち戻っていたのでは,それらを発展させる時間がなくなってしまうだろうから.さらに言えば,本書で述べられている研究は新しい考えを提起していると思えるし,間違いなく多くの新しい研究の引き金になり得たと言えるのだが,決してネットワーク科学の出発点ではないのだ.本当にその栄誉に能う人物あるいは論文があるとするならば,その授与は数十年前に遡ることになるだろう.それでもなお,この件に関して明らかに私が中立な立場でないことを認めたうえで,あなたがこの本を読むべき理由をいくつかここに挙げてみたい.
 一つ目の理由は,本書で述べられている多くの研究結果が大幅に更新され,拡張され,一般化され,そして見違えるほど洗練されているにもかかわらず,ほとんど間違いがないことがわかっているからである.この本を読むだけでは,ネットワーク科学の予備知識を得るのに十分ではないかもしれないが,少なくとも誤った方向へ行ってしまうことはないはずである.さらに,本書の本質的に学際的なアプローチは,今日に至るまでこの研究分野を特徴付けるために続けられているアプローチそのものである.本書は,最近出版されたより秩序立って集約的に書かれている多くの文献よりも,よりわかりやすく,より教育的に書かれており,読者はその内容もさることながら,研究への取り組み方に関する優れたセンスを身に付けることができるだろう.
 二つ目の理由は,本書で述べたいくつかのアイデアは,いまだにほとんど進展していないということである.ネットワークに関する問題に向けられている非常に大きな注目を考えてみると,そんなことはありえないと思われるかもしれない.しかし実際には,注目の大部分は特定の研究コミュニティーで急速に流行りだした比較的狭い範囲のモデルや疑問に関して向けられており,それゆえまだ良くわかっていない同じように興味深い多数の問題が残されている.例えば,数百の論文で固有パス長,クラスタ係数,次数分布について検討しているが,第7章で述べた計算能力や第9章の振動子の同期問題(後者には多少の進展がみられる)に関してはほとんど注目されていない.そして,数百の論文において第3章で述べたβモデルを取り上げているが,αモデルの性質に関してはほとんど研究されていない.αモデルは静的ではなく動的であるため,βモデルと比べてより現実的でさらに興味深いにもかかわらずである.私は未解決の興味深い問題をこの本の中で紹介しようとつとめてきた.本書を注意深く読めば,まだ手つかずな領域の研究プロジェクトになりそうなものが,それとなく示されていることがわかるだろう.
 そして最後の理由は以下のとおりである.科学は昔のことを忘れてしまいがちなものであり,研究の現在の状況をより適切に反映した新しい本が出版されると古い本は急速に忘れ去られてしまう.しかしながら,研究者達の発見した知見をそのまま受け取るのではなく,その知見を導出する際に悪戦苦闘した研究者達の視点から知見を理解するために,アイデアの根本部分に一度立ち戻ってみることには非常に大きな価値があると考えている.時には彼らの物の見方は単に古風で奇妙で,間違っていることさえあるかもしれない.しかし,より狭い範囲に焦点を絞るために後の研究では述べられていない問題に関する洞察や,偏見のないアイデアを示している場合もある.新鮮な目で問題を再度見直してみることで新しい疑問が沸き,新しいアプローチが生まれ,そして新たな知見が得られるかもしれない.私は,そのようなことが本書“スモールワールド”で起きることを望んでいる.そして,多忙で刺激的だった七年前に書かれた本書の元の序文に書いた願いとともにこの序文で終わりたい.この本があなたの探求心を刺激してくれますように.
  ニューヨークにて
  2005年11月29日
  Duncan J.Watts

 第1章 ケビン・ベーコンとスモールワールドの意外な関係
第Ⅰ部 ネットワークの構造
 第2章 スモールワールド現象の概要
  2.1 社会ネットワークとスモールワールド
  2.2 グラフ理論に関する背景
 第3章 広い世界と狭い世界――グラフによるモデル化――
  3.1 関係グラフ
  3.2 空間グラフ
  3.3 まとめ
 第4章 解釈と考察
  4.1 両極端なグラフ構造
  4.2 関係グラフの遷移
  4.3 空間グラフでの遷移
  4.4 さまざまな種類の空間グラフと関係グラフ
  4.5 まとめ
 第5章 「結局,世界は狭い」――三つの現実のグラフ――
  5.1 ベーコンの作成
  5.2 ネットワークのパワー
  5.3 線虫の視点
  5.4 他のシステム
  5.5 まとめ
第Ⅱ部 ネットワークのダイナミクス
 第6章 構造化された集団での感染性疾患の拡散
  6.1 病気の拡散についての概要
  6.2 分析と結果
  6.3 まとめ
 第7章 セルオートマトンによる全体的計算
  7.1 背景
  7.2 グラフ上でのセルオートマトン
  7.3 まとめ
 第8章 スモールワールドでの協調――グラフ上でのゲーム――
  8.1 背景
  8.2 均一な集団での協調の創発
  8.3 非均一の集団における協調の進化
  8.4 まとめ
 第9章 結合振動子における大域的な集団同期
  9.1 背景
  9.2 グラフ上のKuramotoの振動子
  9.3 まとめ
 第10章 むすび

参考文献
参考文献(和書)
索引